沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
万全のアーモンドアイ、やはり無敵。
調教師も騎手も驚いた圧倒的な脚。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2019/10/28 11:50
「現役最強」をあらためて証明したアーモンドアイ。単勝1.6倍の圧倒的人気に応えた。
4秒、10完歩ですり抜けた。
感動的とも言える強さで、10万人を超える観衆を熱狂させた。
アーモンドアイがアエロリットの内を抜けるまでに要したのは、10完歩弱、時間にすると4秒ほどだった。その間、ずっと右手前で走っていた。
が、抜け出してからゴールするまでは、また2度ほど手前を替えていた。それでも後ろを突き放していたのだが、どうやらアーモンドアイは、「本気」になったときは手前を替えず、余裕が出てきたら何度も替えるようだ。
あの隙間を抜けるときの「本気の走り」の迫力は、ディープインパクト級、オルフェーヴル級だったと言ってもいいだろう。
アーモンドアイが力を出し切れば、その近くでゴールすることができる馬は、今の日本にはいない。可愛らしい顔をしているが、まさに「化け物」である。
ルメールはこれで天皇賞3連覇。
けっしてスムーズなレースではなかった。前走の安田記念ほどひどくはなかったが、序盤に不利を受けていた。2コーナーで外にいたサートゥルナーリアに前に入られ、手綱を引いて、危うく内埒に接触しそうになるシーンもあった。
「ちょっと危なかった。怖かった。サートゥルナーリアが内に来て、アーモンドアイにプレッシャーをかけられた。でも、サートゥルナーリアの後ろは、いいポジションだと思いました」
不利を食らったことさえもプラスにとらえられるほど、このときのルメールには余裕があった。それはアーモンドアイの強さと状態から来る余裕だったのだろう。
ルメールは昨年の天皇賞・秋(レイデオロ)、今年の天皇賞・春(フィエールマン)につづく天皇賞3連勝を達成。
「平成最後と令和最初の天皇賞を勝つことができて嬉しいです」
昨年の秋、2分20秒6という驚異的なレコードでジャパンカップを圧勝した走りも強烈だったが、この秋天の走りには、それを上回るインパクトがあった。国枝調教師はこう語る。
「これまでいろいろなGIを獲る馬をやらせてもらいましたが、アーモンドアイは、我々が思っている上を行ってくれる。まだこの上があるような感じがしますね」