“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
徳島が3年かけて築き上げた連動性。
ロドリゲスサッカーはJ1に届くか。
posted2019/10/26 11:40
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
クラブ名の由来ともなる徳島の名所「鳴門の渦潮」を彷彿させるように、徳島ヴォルティスが今、J1昇格争いをかき回している。
J2第28節から第37節までの10戦で、7勝3分けの負けなし。一時期は17位に位置していた徳島が破竹の勢いを見せ、自動昇格圏である2位のモンテディオ山形に勝ち点3差、プレーオフ圏内である6位の水戸ホーリーホックと勝ち点を並べて7位に浮上した。
2017年1月に就任したリカルド・ロドリゲス監督は中長期ヴィジョンを掲げるクラブの命を受け、徳島にやってきた。組織としてのプレスの速度と、そこからのショートカウンターの精度。そして遅攻になっても後ろからしっかりとボールをつなぎ、時間と空間を作りながらコンスタントに攻撃を組み立てていくサッカーを目指した。
この双方で重要なのが、ポジショニングである。
常に相手の出方やフォーメーションを見て、中間ポジションを取り、前への選択肢を増やしていく。特に失点した後や相手が攻勢に出てきた時など、戦術的に困難な状況に陥った時にこそ、「いつも通り」を発揮できる戦い方を持たせること。ロドリゲス監督はこのポイントを徹底してチームに植えつけた。
その上で活きのいい若手や中堅選手を獲得した。そして理解力と経験を積み上げることで、チームの重要なキーマンに仕立てる。杉本太郎(松本)や渡大生(広島)、大崎玲央(神戸)のように徳島で中心選手となった選手をJ1チームへ送り込むこともあった。
昨季はプレーオフ圏内に入れず……。
就任1年目は7位、昨季は11位とプレーオフ圏内に届かなかった。今季もリーグ前半戦は1点差のゲームを6試合落とし、第22節柏レイソル戦から第27節ヴァンフォーレ甲府戦まで2勝4敗と調子を落としていた。
だが、前述した通り甲府戦以降は無敗の快進撃。この快進撃は偶発的なものなのか。直近の試合となったJ2第37節アウェイ・大宮アルディージャ戦。4位に位置していた相手との上位対決を3-2で制した後、ミックスゾーンで3人のキーマンからこの好調ぶりの裏側を紐解いてみた。