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無能な強化担当に、経験不足の監督。
マンUに残された唯一の方法とは。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/27 11:00
アグレッシブなスタイルでマンU復権を目指すスールシャール監督。しかし結果が出ず、厳しい風当たりにさらされている。
サー・アレックス人脈で固めたが。
サー・アレックス・ファーガソン勇退後、モイーズ→ルイス・ファンハール→ジョゼ・モウリーニョと、外部から招いた監督はいずれも失敗に終わった。
したがって原点回帰。サー・アレックスの薫陶を受け、ユナイテッドをよく知るスールシャールを監督に据えた流れは理解できる。
しかし、マンチェスター・シティはジョゼップ・グアルディオラ、リバプールはユルゲン・クロップ。世界有数の監督が率いている。トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノも、すぐれた戦術家だ。スールシャールが彼らと互角に渡り合えるはずがない。
しかも監督の周りを、ミック・フィーランやマイケル・キャリックなど、やはりサー・アレックスに近い人脈で固めた。フィーランは戦略家でもなければモチベーターでもない。現役当時のキャリックは歴代の監督に物申すうるさ型だったが、指導者としてはまだまだ新人だ。スールシャールをサポートするコーチングスタッフも力不足は否めない。
ネビルとギグスらは擁護、キーンは。
こうした状況を踏まえたのか、あるいはサー・アレックスに忖度したのか、OBが次々と現体制を支持している。
「あと4~5人は一線級が必要だ」(ギャリー・ネビル)
「スールシャールには時間を与えなくてはならない」(ライアン・ギグス)
「ユナイテッドにふさわしくない選手が多すぎる」(ポール・スコールズ)
モウリーニョが戦力不足を嘆いたとき、ネビルは「十分だ」と反論した。ギグスが語るように時間は必要だが、スールシャールの采配を踏まえるとリスクの方が大きい。引退後、スコールズはネガティブな発言を繰り返すだけのオッサンになった。
一方、サー・アレックスと袂を分かったふたりは正直だ。
「ユナイテッドの将来を考えただけでゾッとする」(ロイ・キーン)
「スールシャールを監督に据える時期が早すぎた」(ポール・インス)
サー・アレックスの人脈で再起を図ったものの、人材不足を露呈し、醜態をさらした。この期に及んで、パトリス・エブラをコーチングスタッフに加えようとしている。スールシャールのキャリアに傷をつけたくないのなら、状況に応じたゲームプランを構築できる凄腕の副官を外部から招くべきだ。