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前田健太、3年前の決意の言葉通りに。
「地区シリーズ最高の投手」の評価。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2019/10/21 11:15
ナショナルズとの地区シリーズでは2勝3敗と敗れたが、4試合に救援し無失点の好投をしたドジャース・前田健太。
身体検査でイレギュラーな点が。
記憶に残っている方も多いと思うが、前田はメジャー移籍を切望しポスティングシステムで海を渡ろうとした。
だが、評価が高かった割に前田の交渉は難航した。その理由を当時彼はこう説明した。
「身体検査でイレギュラーな点がありました」
右ひじに見てとれた勤続疲労を危惧され、契約に至ったドジャースでさえ基本年俸は312万5000ドル(約3億7500万円)に抑えた。6年総額1億ドル(約120億円)の攻防と評されていたはずが、保証額は8年総額でわずか2500万ドル(約30億円)、わずか1/4ほどだった。登板数やイニングで毎年10億円近いオプションを設けられたものの、相場を大きく下まわる低額契約に米メディアはこんな論調で報じた。
「受け入れるべきでない、選手にとって屈辱的な契約。もう1年日本でプレーし、フリエージェントとして来季からの高額契約を目指すべき」
大谷も1年でも早いメジャー移籍を希望。
だが、前田は違った。価値観はお金にはなかった。
メジャーに戦いの場を移し、そこで自分が何を出来るのか。戦う前から評価=お金を気にするのでなく、選手として最高峰の場に1日でも早く身を置き、全身全霊を傾けたい。その中で自分には何が出来るのか。もちろん結果を残す自信があったことは言うまでもない。3年後、前田は今の立場を築き上げた。
近年では大谷翔平もそうだった。25歳未満の海外選手獲得に定められた契約制限で当時23歳の彼の契約金は約2億5000万円ほどに抑え込まれた。その上にマイナー契約からのスタート。メジャー昇格を果たしても年俸はメジャー最低保証(約6000万円ほど)しかない。
大谷も2年待てば、ルール適用外となり、契約総額は300億円以上が勝ち取れると言われてきた。だが、大谷も1年でも早いメジャー移籍を希望した。