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ブラジル攻撃陣に食らいついて金星!
DF渡辺剛に響いた森重&東のエール。
posted2019/10/18 17:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Getty Images
中央大から今年、FC東京に加入した渡辺剛には、自身を奮い立たせる言葉があった。
ひとつは、FC東京のキャプテンで、2012年のロンドン五輪で日本代表の10番を背負った東慶悟からの叱咤激励だ。
「慶悟さんが『東京でオリンピックが開催されるんだから、FC東京から絶対にひとりは出なきゃダメだぞ』って。本当にその通りだな、と思っています」
もうひとつは、'08年の北京五輪と'14年のブラジル・ワールドカップに出場し、FC東京でセンターバックのコンビを組む森重真人からのエールである。
「森重さんは僕のことをめちゃくちゃ応援してくれていて。(五輪)代表に選ばれる前から『いつかチャンスが来るから。そこで自分のプレーを見せればいい』って。『俺には見えるよ。ツヨシが(五輪)代表でプレーしている姿が』とも。本当にありがたいです」
こうした先輩たちの言葉を胸に、渡辺はU-22日本代表の一員としてブラジルの地に降り立ったのだった。
「初めてだけど年上っていう(笑)」
「初めてだけど年上っていう、ちょっと異質な感じです(笑)」
10月8日から始まったブラジル合宿の初日に渡辺は、自身の立ち位置について語ると、笑みを浮かべた。
オリンピックの男子サッカーには23歳以下という年齢制限があるため、東京五輪に出場できるのは、3人のオーバーエイジを除き、1997年以降に生まれた選手に限られる。
今年の大卒プレーヤーの多くは、'96年生まれだから出場資格がない。しかし、渡辺は'97年の早生まれのため、出場資格をぎりぎり満たしている。
もっとも、これまで渡辺がU-22日本代表に選出されることはなかった。
不動のレギュラーだったチャン・ヒョンスの電撃移籍によって、センターバックのポジションが空くという幸運に恵まれたとはいえ、7月以降、首位のFC東京の堅守を支えてきたにもかかわらず、9月の北中米遠征でも招集されることがなかった。