FC東京で、勝負はこれからですよ。

　果たして、森重と東は渡辺のU-22ブラジル代表戦でのプレーをどう見ただろうか。優しくも厳しい先輩たちのことだ。「ツヨシ、まだまだだな」とハッパを掛けたのかもしれない。

　渡辺自身は手応えを掴みながらも、自身のプレーに対して冷静な視線を向けた。

「3バックの場合、ビルドアップの部分がより求められるので、そこをもっと磨かないと。あと、やっぱりブラジルは個人技やスピードのある選手が多かった。そこでの1対1で負けてしまうと、チームが崩れてしまう。対応力も磨いていきたい」

　ここまで首位を快走してきたFC東京は先日、ついに鹿島アントラーズにその座を明け渡した。「でも、勝負はここからですよ」と渡辺は言う。

　自身が思い描く、「リーグ優勝に貢献できる選手」に近づくために、ブラジルから持ち帰った課題にさっそく取り組んでいるに違いない。その努力の末に、東京五輪への出場も見えてくる。