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ブラジル攻撃陣に食らいついて金星!
DF渡辺剛に響いた森重&東のエール。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2019/10/18 17:00
第18節からリーグ戦フル出場を続ける渡辺剛。冨安健洋ら多士済々の東京五輪世代DF争いに割って入ってきている。
ロドリゴ相手にも食らいついた。
だが、次第に落ち着きを取り戻した渡辺は、ストロングポイントである空中戦の強さやカバーリング能力を発揮するようになる。RBライプツィヒのマテウス・クーニャに身体をぶつけ、レアル・マドリーのロドリゴの突破に食らいついた。
守備陣の奮闘に、攻撃陣も応えた。田中碧がミドルを2発、中山雄太がスーパーミドルを叩き込み、“未来のセレソン”に対して3-2と大金星を挙げたのである。
試合後、感想を求めると、渡辺がまず口にしたのは、自身のパフォーマンスの出来ではなく、チームが勝ったことへの喜びだった。
「こういう試合では結果が一番大事だと思っていて。自分がどれだけやれたかも大事ですけど、チームが勝った。そこに貢献できたことがすごく嬉しいですね。もちろん、個人的には、東京に帰ってやらなきゃいけないことも見つかりました」
ただ“青赤”をまとうだけでなく。
まずはチームの勝利――。
それは渡辺がずっと大事にしてきたものだ。それはFC東京でも、いや、プロになる前から変わらない。
FC東京U-15深川からU-18に昇格できず、山梨学院高に進学した渡辺は、FC東京に戻ることを夢見て中央大に進んだ。とはいえ、部員の中でプロを目指していたのは、ほんの数名。高い目標を持ち続けるのが簡単な環境ではなかった。
そうした中で大きかったのが、柏レイソルのアカデミー出身である上島拓巳の存在だった。「絶対にレイソルに戻る」と誓う上島と切磋琢磨し、刺激し合って夢を追った。
だが、渡辺が思い描いたのは、ただ青赤のユニホームを再びまとうことではなかった。さらに高い目標を掲げていたのだ。
「東京を優勝させるためにはどうすればいいか、を考えていました。東京がリーグ優勝できていないことは分かっていましたから。チームの勝利、東京のリーグ優勝に貢献できる選手になる。そう思い描いて大学生活を送ってきました」