セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
初CLで連敗しても強いアタランタ。
主将が感心した“八百屋のお釣り”。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/19 08:00
セリエAで好調な一方、アタランタはCLで壁にぶち当たっている。それを乗り越えられるかを見つめるのが、プロビンチアを応援する醍醐味なのだろう。
俺らはなんて甘ちゃんなんだ!
歴史的なCLのホーム初戦に大声援を受けたアタランタは、16分にFWイリチッチがPKを失敗するも12分後にエースFWサパタが先制弾を決めた。41分に追いつかれたが後半に入っても攻め続け、大会初勝ち点は目前だった。
なのに、タイムアップまで残り5秒でカウンターからあえなくゴールを割られ、1-2と土壇場で逆転負けを喫した。GKゴッリーニは「俺たちは何て甘ちゃんなんだ!」と試合後憤慨した。
試合巧者シャフタールは、サイド攻撃を徹底することでアタランタ守備陣を1対1に誘い込み、じわじわと疲弊させていた。終盤を迎える頃、3バックの周囲にはケアしきれないスペースがぽっかり空いており、MFソロモンは無慈悲かつ正確にそこを突いたのだった。
D・ザグレブ戦とは異なり、アタランタはボールをキープできていたし、動きも悪くなかった。FWイリチッチのPK失敗が響いたのは確かだが、追加点を奪うチャンスは何度も作った。
それだけに、歴史的勝ち点を逃した悔恨は余計に残る。場慣れしていないアタランタの詰めの甘さが、最後の最後で明暗を分けたのだ。
CLで連敗、しかしセリエAでは好調。
欧州から選りすぐりの強豪クラブのみが揃うCLで、あわよくばグループリーグ突破を、と抱いていた淡い期待が急速に萎もうとするなか、2戦を振り返って智将ガスペリーニはみずからに問いかけた。
「実際に出てみて、CLのレベルとプレースピードは予想以上だった。それでも攻撃サッカーを貫くか、現実的に安全策として守備第一で考えるか。大会のレベルで我々のサッカーは通用するのか、と自問するときだ」
CLでの連敗ショックにチームは打ちひしがれているだろうか。
否、ショックなどどこへやら、国内でのアタランタは歴史的快進撃中だ。