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クラブ史上最高からの転落劇……。
トッテナムに必要なのは断捨離だ。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/16 19:00
2018-19シーズンCL準優勝のトッテナム。本当に優勝を狙えるクラブになるための転換期に来ている。
智将のプランがすべて狂った。
具体名こそ挙げてはいないが、ケインがエリクセンを、そして退団に向けて動いていたダニー・ローズを、トビー・アルデルバイレルトを指していることは、想像に難くない。かくしてトッテナムは疑心暗鬼に陥った。
選手同士の信頼関係が損なわれつつあるチームは、さしものポチェッティーノをしても簡単には創り直せないだろう。彼自身も再三に渡って移籍市場の不調を嘆き、「いったい、何が起きているのか。あちらこちらでこんがらがっている」とまで口にしている。
ただ、左ハムストリングを4度も痛めたデル・アリをはじめ負傷者が続出したことでエリクセンを、ダビンソン・サンチェスの成長が止まったことで、アルデルバイレルトを使わざるを得なくなった。
ベン・デイビスが攻撃的に振る舞えればローズを起用しなくて済むはずだが、ポチェッティーノの思惑はことごとく外れた。退団を希望していた選手がラインナップに顔を揃える。不測の事態といって差し支えない。
しかもライアン・セセニョン、ジョバニ・ロチェルソ、タンギ・ヌドンベレの新加入3選手は、コンディションがままならない。特にロチェルソとエンドンベレは「プレミアリーグに順応するまで、思ったより時間がかかるかもしれない」と、ポチェッティーノが悩むような状態だ。彼のプランはすべて狂った。
主力はポチェッティーノ支持だが。
それでも、主力はポチェッティーノを支持している。ハリー・ウィンクスが「いまこそボスを支えなければならない」と語り、ムサ・シソコもSNSで次のように綴った。
「監督に非はない。今シーズンの不調は、すべて俺たち選手の責任だ」
ポチェッティーノにすれば心強い限りだ。ただし、一般紙『イブニング・スタンダード』のアンケートによるとサポーターの56%が現体制を否定している。
高級紙、タブロイド紙を問わず、多くのメディアがポチェッティーノは「もはや限界」と判断して、レスターのブレンダン・ロジャーズ、アヤックスのエリク・テンハーフ、昨シーズンまでユベントスを率いていたマッシミリアーノ・アッレグリを新監督候補に挙げている。
チャンピオンズリーグでバイエルンに2-7、プレミアリーグでもブライトンに0-3で叩きのめされたため、監督交代は近いと読んでいるのだろう。