マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
青森山田・堀田賢慎の剛球を受けた。
直球の回転音が美しいドラフト候補。
posted2019/10/16 17:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Masahiko Abe
このピッチャーを受けに行こう!
勝手にそう決めたのは、今年6月の高校野球・東北大会のことだ。
185センチ83キロ、均整抜群の体躯。長い手足を伸びやかにしならせて、145キロ前後の快速球と複数の変化球をガンガン投げ込んでくる“活気”ある投げっぷりに、見ていて胸が躍った。
青森山田高・堀田賢慎。
今年の東北は、「佐々木朗希」だけじゃなかった。
力を入れて投げようとし過ぎないのがいい。
そこまで力感がないのに、ボールの推進感がすばらしい。
捉えたはずのタイミングでフルスイングしているのに、打球はどん詰まり。ミットに入ってから空振りしている場面も何度かあった。盛岡四高を相手の7イニングを、5安打8奪三振。たった1時間半ほどで、無失点に抑えていた。
この「青年」とじっくり話がしたい。
それ以上に、試合の後の囲み取材での彼の様子が、私の心を射ていた。
問う記者の目をしっかり見つめて“問い”を受け、メリハリの効いた語り口で、語尾までキチッと話しきる。
普通の「東北の子」じゃなかった。
この少年、いや「青年」とじっくり話がしてみたい。
それが実現したのが、この9月だ。野球雑誌『ホームラン』の取材で、青森山田高のグラウンドに伺った。
話してみて、思った通りの青年だった。
ただの「剛腕」じゃなかった。中味があった。
すぐに、地元・東北地方の放送局のプロデューサーさんに連絡して、スポーツ番組の企画として、堀田投手のピッチングを受けさせていただけないか……とのお願いを受け入れていただいた。
ありがたいことに、青森山田高・兜森監督も快諾してくださった。