“光”が飛んでくるように見える。

　ミットを気持ち突き出すように捕る。それでも、ミットが戻される。

　ボールがデカく見える。

　18.44m向こうから、“光”が飛んでくるように見えて、それが途中から“ソフトボール”にズームアップしてくる。ちょい引っかけたボールが、構えたこっちの右側の地面に突き刺さるように低く来た。

　バックハンドでミットを流して捕ろうとしたら、モロに手のひらの、それも手首に近いところで捕った。

　目から火が出た。

　やった人ならわかるはず。“そこ”は、足なら「むこうずね」……モロに骨にくるんだ。

　5日経った今でも、パーはできても、ちゃんとしたグーができない。

　そのあたりから、目の前に“虫”が飛び始める。去年から時々出てくる目の障害。さっき、間違えて、太陽を見てしまったせいかも。

「最初はちょっと緊張したんですけど」

　変化球は、堀田賢慎の「相棒」、安田優斗捕手に代わってもらう。

　最初から、横で付き添ってくれていた。スライダー、カーブ……。抜けるボール、早く曲がり始めるボールが目立つ。

　変化球だから、曲げようとする意識が前に出て、手先で曲げようとするから、かえって曲がらない。

　変化球は、握りのちょっと違うストレート！　曲げようとしたら曲がらないよ！

　ついつい、余計なお節介アドバイス。

　とたんに、カーブがタテに割れた。スライダーがキュッと、ホームベースの上で動いた。

「おお、ナイスボール！　このボール、現役の時に見せてもらいたかったぜー！」

　絶好のタイミングで、安田捕手の賞賛が飛んだ。

「最初は、ちょっと緊張したんですけど……はい、どれぐらい捕れるのかわからなかったんで……でも、途中からは、全力投球でバンバン！　楽しい気持ちで、のびのび投げられました！」

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