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川崎ルヴァン初制覇へ機は熟した。
鹿島のお株を奪う試合巧者ぶり。
posted2019/10/15 11:50
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
Getty Images
試合の構図は、両チームの放ったシュート数が雄弁に物語っている。
ホームの鹿島アントラーズの3本に対して、アウェイの川崎フロンターレが18本。スコアこそ最後まで動かなかったが、内容で圧倒し続けた川崎が2年ぶりとなるルヴァンカップ・ファイナル進出を決めた。
10月13日、ルヴァンカップ準決勝第2戦の試合後、安堵の表情を見せた小林悠が、こう胸を張る。
「守りに入ってるという感覚は全くなかったです。アウェイゴールを決めることで楽になるのは分かっていたので、最後までゴールに迫ることは考えてました。そういう意識の統一がしっかりできてたんじゃないかなと思います」
第1戦を3-1で終えたことで、2点分のアドバンテージを持って敵地に乗り込んだ。ただ序盤から守りに入ることなく、勇敢に攻め続けた。
前半、鹿島をシュート0に抑えた。
鹿島の出方が読めない不気味さはあったはずだが、そうした対応力も含めて、選手たちは慎重かつ大胆な舵取りをして試合を進めていたことを中村憲剛が明かす。
「受けずに自分たちがいつもどおりにやる。でも、やりすぎてカウンターを受けて失点しないように。攻撃的になりすぎると、(鹿島は)相手の隙をついていくのがうまいチームなので、そこは本当に気をつけようと話していました」
攻守が入れ替わり、鹿島ボールになっても前線の小林と中村が素早くプレッシャーをかけにいくことで、容易には後ろで保持する時間を作らせなかった。
開始直後に鹿島の最終ラインの一角を担う犬飼智也が負傷交代を余儀なくされたことで、鹿島側のプランが狂った側面もあったが、結局、前半は鹿島に1本もシュートを打たせていない。