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曽ヶ端準「日本人GK、頑張ろうぜ」
川崎・新井章太に響く大先輩の言葉。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/10/12 11:40
昨年のJリーグベストイレブンに輝いたチョン・ソンリョンと鎬を削る新井章太。日本人GKの意地を見せようと奮闘している。
配球とカバーリングでリズムを。
8月には天皇杯3回戦・ファジアーノ岡山戦で今季2度目の先発で勝利に貢献。その後のリーグ戦では変わらずにチョン・ソンリョンが起用され続けていたが、9月に行われたルヴァンカップ準々決勝・名古屋グランパス戦で再びチャンスが巡って来た。
「ここで結果を出さないと、今までやってきたことは意味がないと思ってます」
そう決意を語るだけではなく、自身の特徴でもあるテンポ良い配球や、ディフェンスラインの背後を俊敏にカバーするモビリティーを出すことで、チーム全体のリズムを良くしていきたいという思いを口にしていた。
「もちろん、自分の仕事は止めることなので、セーブは大事になる。ただビルドアップもそうだし、機動力でもディフェンスを助けたい。11人目のフィールドプレイヤーのような働きでリズムよくできればと思う」
第1戦でアウェイゴールを許さずに完封勝利を飾ると、続く第2戦でも出場。準決勝進出に貢献すると、ポジション争いの風向きが少しずつ変わり始めた。
大量得点の湘南戦でビッグセーブ。
リーグ戦6戦連続未勝利だったこともあり、第26節のジュビロ磐田戦で出番が巡って来たのだ。
そこから現在までリーグ戦3試合連続で先発し、そのうち2試合を完封。前節の湘南ベルマーレ戦では、4点のリードで迎えたハーフタイムに、「まだ終わってないぞ!まだ勝ちじゃないからな!」とロッカールームで味方を鼓舞し続けた。
「ああいう試合って、最後は4-2とかのスコアになりやすいので。そうなると、ルヴァンカップにも悪い影響が出てしまう。それに初優勝した時も、得失点差で(鹿島を上回って)優勝したじゃないですか。まだ鹿島の方が、現時点で得失点差で上なのをことを知っていましたし。
それに、もっと畳み掛けて欲しかったので、そういう声を味方にずっとかけていました。ショウゴ(谷口彰悟)も同じことを言っていましたね。『まだこっからだぞ!』って」
その思いを自らのプレーで示すように、57分にはクリスランの決定的なヘディングを俊敏な反応でセービング。DAZNの週間スーパーセーブの「ベストセーブ」にも選出された場面だが、「どんな試合でも1回は(決定的なピンチが)来ると思っていたので、最低限の仕事」と、大量得点でのゲームを無失点で終えたことに胸を張っている。