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曽ヶ端準「日本人GK、頑張ろうぜ」
川崎・新井章太に響く大先輩の言葉。
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/10/12 11:40
昨年のJリーグベストイレブンに輝いたチョン・ソンリョンと鎬を削る新井章太。日本人GKの意地を見せようと奮闘している。
試合前に「頑張ってるじゃん」。
鹿島アントラーズとのルヴァンカップ準決勝の第1戦。
この試合で鹿島のゴールマウスを守っていたのは、正GKであるクォン・スンテではなく、曽ヶ端準だった。今年40歳を迎え、J1通算531試合出場という歴代屈指のキャリアを誇る大ベテランである。その大先輩からこんな言葉をもらったと新井が明かす。
「試合前に曽ヶ端さんから『頑張ってるじゃん』と声をかけてもらったんです。実は、去年のアウォーズで会った時にも、『日本人GK、頑張ろうぜ』という話をしてくれて、それをこの試合前にまた言ってくれたんです。そういう風に日本人のみんなも気にかけてくれると思うと、もっともっと自分の評価を上げたいし、なおさら頑張らないといけないと思いましたね」
トライアウト、第4GKを経た苦労人。
新井は、GKとして華やかなキャリアを歩いてきたわけではない。年代別代表の経験はなく、大卒で入ったJ2の東京ヴェルディではたったの1試合の出場機会もなかった。
トライアウトを経て川崎フロンターレに入り、第4GKから地道な努力を積み上げて来た苦労人だ。そんな自分がチャンピオンチームのゴールマウスを守っていることは、Jリーグの日本人GKにとっても、大きな意味があると話す。
「この掴んだチャンスというのは、自分だけではなく、日本人のGKの励みにもなると思ってます。もっともっと、こういうチャンスを掴める人が増えたら良いなと思っている」
第1戦を3-1で勝ったことで、ファイナル進出に王手をかけた。運命の第2戦は、常勝クラブの敵地に乗り込んでの一戦となる。
「自分が出る以上は、勝ちたいので。それしか狙っていないです。失点ゼロの時間が長ければ長いほど、相手はあせるはず。そうやっていけば、決勝も見えると思っている」
タイトルへの執念と日本人GKとしての野心を胸に、新井章太は川崎のゴールマウスに立ち続けていく。