サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
鎌田大地が探すFWとしての生き方。
「経験が少ない分、発見しかない」
posted2019/10/12 11:50
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
「あぶなかった」
祝福に訪れた長友佑都とゴールゲッター鎌田大地の表情がスタジアムのオーロラビジョンに映し出された。鎌田の唇がそんなふうに動いているように見えた。
82分、遠藤航が放ったミドルシュートのこぼれ球をヘディングでゴールへ押し込み、日本代表初ゴールを決めた鎌田だが、喜び以上に安堵感を漂わせていた。
「めちゃくちゃ外していたし、ドイツでもゴールが入らない時期が続いていたので、やっとかぁという感じですかね」
ワールドカップカタール大会アジア2次予選、モンゴル戦。開始からモンゴル陣地に攻め込み続けた日本は、22分に南野拓実がゴールを決めると、前半だけで4得点と一方的に試合を進めていた。前半のシュート数は14本。後半も18本を打っている。
「前半に4点入り、後半はある程度落ち着いた試合になった。ある程度余裕のある状況だったけれど、そこへ途中から入るのは簡単じゃないなと思ってみていました」
ベンチに座り、戦況を見ていた鎌田が振り返る。
プレーは悪くない、ゴールだけが。
昨季、レンタル移籍していたベルギーのシント・トロイデンで12得点をマークし、今季はフランクフルトに復帰。出場機会は得ているが、ゴールからは遠ざかっていた。
「1ゴールを決めれば、彼は苦しみから解放される」とフランクフルトの指揮官アドルフ・ヒュッターが語るほど、ゴールだけが足りない状況だった。
「その通りだと思います。壁といえばもちろん壁なんだろうけれど、僕のプロとしてのキャリアを振り返ると、1点獲るまでに時間はかかる。でも、1点獲れればそれ以降も獲れると思っている。
プレー自体はそれほど悪くないと思うし、点さえついてくれば、もっと上に行ける。その1点を僕自身も待っているし、チームのみんなも待っていると思うので、そういう部分で楽になりたいと考えている」