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鎌田大地の才能に地元ファンも注目。
フランクフルトでの変身ぶりとは。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/14 11:40
日本代表でも最前線のキーマンになるのではと期待がかけられている。鎌田大地にとって2019-20シーズンは勝負の1年となる。
ドーピング検査後に取材を快諾。
ブレーメン戦を2-2のドローで終えた直後、鎌田が足早にミックスゾーンを通り過ぎていきます。
「すみません。ドーピング(検査の対象)なんです」
ドーピング検査は試合後すぐに隔離される形で実施されます。寄り道してはいけません。そして、尿が出るまでは拘束が解かれません。サッカー選手は試合中大量に飲水しますが、同時に多量の発汗もします。なので、試合終了直後はトイレに行っても尿が出ないことが多いと聞きます。
取材できれば良かったのですが、すでに試合終了から1時間が過ぎてしまいました。「これは諦めるしかない」と、トボトボ帰路につこうと記者控室から地上に上がる階段を登りかけたとき、後ろから誰かに声を掛けられました。
「まだいましたか? インタビュー今からでも良ければどうぞ」
鎌田選手、ドーピング検査が終わった後、わざわざ僕らメディアを探しに来てくれました。質問を受けた彼は、「明日の便で日本へ帰ります」と言い、森保一監督率いる日本代表へ合流すべく、その場を颯爽と去っていきました。
その後姿は静かながら高潔な気概に満ち溢れ、僕はそんな彼を逞しく、頼もしいと思いました。