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鎌田大地の才能に地元ファンも注目。
フランクフルトでの変身ぶりとは。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/14 11:40
日本代表でも最前線のキーマンになるのではと期待がかけられている。鎌田大地にとって2019-20シーズンは勝負の1年となる。
ヨビッチらが去って白羽の矢が。
7月2日、まずヨビッチがレアル・マドリーへ完全移籍しました。ヨビッチに関してはかねてから多くのビッグクラブが獲得を所望していたため、クラブも早々にベンフィカ相手に買取オプションを行使し、レンタルから正式契約へ切り替えたうえでレアルへ売却と、筋書き通りでした。
そして、7月17日にはアレがウェストハムへ完全移籍。こちらも4000万ユーロというビッグディールで、アイントラハトは御の字。ただ、アレはゴールゲッターとしてだけでなく攻撃起点となるターゲットマンとしても非常に効いていたので、チームとしては戦術、戦略プランの再考を迫られることにもなりました。
攻撃の柱を一気に2人も失ったアイントラハトは、選手を補充しなければなりません。他クラブの人材を含め様々なセレクションがされたはずです。そこで白羽の矢を立てたのが……、ダイチ・カマダだったのではないでしょうか。
トップ下のファーストチョイスに。
今季、アイントラハトはヨーロッパリーグの2次予選から出場したため、他のブンデスリーガクラブよりもかなり早い始動になり、序盤から多くのゲームが組まれていました。ただ、鎌田にはこのスケジュールが好作用を及ぼしたように思います。
シーズン初の公式戦となったヨーロッパリーグ2次予選第1戦のフローラ・タリン(エストニア)戦で、鎌田はミヤト・ガチノビッチに代わり64分から途中出場しています。ちなみに、このときの鎌田の背番号は40でした(現在は15番)。
続くフローラ・タリンとの第2戦ではスタメンフル出場。そして、同3次予選のファドゥーツ(リヒテンシュタイン)戦は再び先発して73分で交代。さらに、国内カップ戦のDFBポーカル1回戦のマンハイム戦では先発出場したうえにアイントラハトでの初ゴールをマークし、チームの逆転勝利に大きく貢献しました。
ブンデスリーガが開幕してからの鎌田は、ここまで主力としてプレーし続けています。それは、レビッチがローンでミランへ移籍し、トレードの形でFWアンドレ・シウバがチームに加わり、スポルティングからFWバス・ドストが加入しても変わっていません。
ヒュッター監督が鎌田に託したポジションは3-4-1-2のトップ下。昨季はアレを頂点にヨビッチとレビッチを含めた3トップ、あるいはアレとヨビッチの2トップにレビッチをセカンドストライカー的に配する攻撃陣形を築いていましたが、今季は明確にトップ下のポジションが存在しています。
シーズン開始当初はここにガチノビッチを起用する気配が感じられましたが、現時点では鎌田が同ポジションのファーストチョイスとして君臨し、ヒュッター監督もその有効性を認識しているようです。