プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人圧勝の流れを作った意表の重盗。
原辰徳監督、決断の根拠は「理」。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/10/11 12:00
巨人対阪神CS第2戦、5回巨人1死一、二塁、打者丸のとき、重盗を仕掛ける。三盗の亀井も楽にセーフだった。
阪神の逆襲には「理」を超えたものが必要?
試合後のインタビュールーム。王手をかけた巨人・原監督には「アドバンテージを含めてCS無敗で日本シリーズに王手をかけたケースの突破率は100%ですが?」と質問が飛んだが、原監督は笑みを浮かべてこう答えた。
「何の保証もないわけですから。明日もまたフラットな形で戦うだけです。1戦、1戦、今日と同じような精神状態でプレーボールを迎えるだけですね」
ちょうどその頃、報道陣に囲まれた阪神・矢野監督はまなじりを決して、開き直ったようにこうまくし立てていた。
「苦しい時にどうやって楽しむか。苦しいときこそ前を向いたり、苦しい状況を楽しむのは簡単なことではない、だけど、ずっとチームとしてやってきたんでね。明日も全員で、この土俵際ギリギリのところから。もう、ウチは4連勝しかないんで!」
もちろんこう語るしか言葉はなかった。
ただやはり2人の監督のどちらの言葉に「理」を感じるかは明らかで、阪神の逆襲にはそうした「理」を超えたものが必要なのかもしれない。