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ポストシーズン中はスタバがタダに!
前田健太はロスのために腕を振る。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKYODO
posted2019/10/04 20:30
ポストシーズン初登板で初ホールドを上げたドジャースの前田健太。ベンチに温かく迎え入れられる。
日本のマエケンからロサンゼルスのケンタへ。
「Good Luck, Kenta!」(頑張って、ケンタ!)
マエケンがひとつのエピソードを明かしてくれた。この時期になるとロサンゼルスのファンから声をかけられることが多くなると言うのである。
日頃、米国のファンはメジャーリーガーと街中で遭遇しても、笑顔で視線は送るものの、プライバシーを尊重し、大声で呼んだり、サインをねだったり、写真を求めたりはほとんどしない。だが、ポストシーズンの時期となるとちょっと変わってくる。マエケンもそれを入団2年目に感じるようになったと言う。
「2017年にすごい(成績が)良かったので。いろいろ(米国の)新聞とかテレビに取り上げてもらい、ワールドシリーズがきっかけで声をかけてもらうことが増えた」
入団2年目のこの年、ポストシーズンでは救援の役回りに配置転換された。先発として人一倍の拘りを持つマエケンだが、チーム事情を受け入れ、懸命に腕を振った。その結果、9試合で2勝2ホールド、防御率0.84。ワールドシリーズ第7戦でヒューストン・アストロズに敗れ、あと1勝で世界一は逃したものの、マエケンの葛藤を知ったファンはチームのために尽くした献身的な投球、貢献を称えた。“日本のマエケンからロサンゼルスのケンタ”になった瞬間だった。
家の近くのスタバがタダに!
それ以降、昨年のポストシーズンやこの10月、ファンは街中でケンタを見かけると「Good Luck !」などと声をかけ、ちょっとした心遣いを示すようになった。ファンに愛され、認められた証し。マエケンにはそれが嬉しかった。
「登板日とかポストシーズン中、ワールドシリーズ中はたぶん家の近くのスタバがタダになる。頑張って! みたいな感じで。1年目より2年目とだんだん声をかけてもらえるようになっている」