マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
2019年ドラフトを1人で全予想・下。
巨人・西武のリーグ覇者の1位は?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byAsami Enomoto
posted2019/10/03 18:00
規格外さで言えば、佐々木朗希の右に出る選手はいない。彼のキャリアが今から楽しみである。
奥川恭伸はまさに次期・菅野智之。
〔読売ジャイアンツ 2019年ひとりドラフト指名選手〕
1位 投手 奥川恭伸(星稜高) 183cm84kg 右右
2位 遊撃 紅林弘太郎(駿河総合高) 186cm85kg 右右
3位 投手 坂本裕哉(立命館大) 180cm85kg 左左
4位 投手 小林珠維(東海大札幌高) 183cm86kg 右右
5位 内野 勝俣翔貴(国際武道大) 177cm78kg 右左
6位 外野 平野大和(日章学園高) 177cm80kg 右右
7位 投手 山田綾人(玉川大) 186cm92kg 右右
〔総評〕
やはり、今年の巨人は持っていた。
5年ぶりのリーグ優勝だけじゃなかった。
「2019ひとりドラフト」1位最多入札4球団の奥川恭伸を、抽選の残りクジ(ドラフトの重複指名抽選は、下位球団からクジを引く)で引き当てると予想した。申し遅れましたが、この「ひとりドラフト」、抽選も無数の横線が引かれた厳正な“あみだクジ”で行っている。
まさに、「次期・菅野智之」がピッタリ重なる盤石、無欠点のピッチング。心なしか、マウンド上の闘う横顔なども“師匠”にどこか似ているような……。
巨人にも、本人にも、ここは「おめでとー!」のひと言だろう。
遊撃・坂本勇人の後継者というミッションはすでに昨年から始まっていて、「2018NPBドラフト」でも、実際に明秀日立・増田陸を2位指名したが、今季初めに大きな故障に見舞われ、戦列を離れたままに終わった。そこで、フィールディングなら天下一品の大型遊撃手・紅林で念を押す。
無類の元気者だが野球はちょっと粗っぽい増田と、このサイズで抜群の野球上手なのに、今ひとつ覇気の見えない紅林。自分よりすごい人を見た時のショックで覚醒……どちらが先に抜け出すか。
「左腕なら何人いてもいい」
打撃ベスト10の半分以上が「左打者」なら、原監督のこの発言も理解しやすい。
3位・坂本が左打者を得意とするサウスポーなのが心強い。左打者に対するスライダーの制球に信用が置ける。
左打者には左腕……絶対的な法則のように言われているが、実は「左バッター、投げにくいです」と打ち明ける左腕は意外と多く、逆に左腕を見立てる際の大事なチェックポイントとなる。
長打力と俊足で“野手”としての将来性の方が光って見える4位・小林と、左打席からの勝負強いライナー性の長打力に「清水隆行」を思い出させる5位の勝俣は、いかにも原監督の「東海大ライン」に見えるが、あくまでも実力優先の人事。
しかし、7位・山田については、桐光学園高時代は故障、故障で、野球にならなかった投手を「ドラフト候補」にまで育て上げたのが監督・樋澤良信、コーチ・関本四十四の「ジャイアンツコンビ」なら、その育成を引き継ぐのもやはり読売ジャイアンツなのだろう。