草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
大野雄大と与田剛監督の絆。
ノーヒットノーラン達成の裏側。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2019/09/29 09:00
史上81人目となるノーヒットノーランを達成した大野雄大。お立ち台では「信じられない気分」と答えながら、捕手やチームメイトに感謝を述べた。
与田監督が大野へ課したノルマ。
球団内部には「大野にはトレードで新しい環境を与えた方がいいのでは」という声もあったが、新監督はそんな動きを即座に凍結。それどころか「170イニング投げてくれ」と主軸としてのノルマを早々に与えた。
元来の大野はトラブルメーカーなどではない。むしろ頼られれば意気に感じ、乗せればどこまでも上がっていくタイプである。晴れてモチベーションはV字回復。新監督の期待に見事に応えたのがノーヒットノーランであり、侍ジャパン入りといえるだろう。
ちなみに大野が未勝利に終わった昨シーズンの投手陣はリーグワーストの防御率だったのに対し、今季は堂々の3位(9月26日現在)。能力ある人材を上手に使いこなしたことで、結果として上司の評価も上がったことになる。
組織で責任ある立場にいる人間にとって、アンガー・マネジメントは必須項目である。大野の快挙は世のサラリーマンたちへの教訓を残してくれた。