ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
古巣の胴上げを目の前で見て落涙。
DeNA・中井大介に胸中を聞いた。
posted2019/09/29 11:45
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Naoya Sanuki
抑えられない感情がこみ上げてくる――。
9月21日、横浜スタジアム。5年ぶりにリーグ優勝を遂げた巨人の原辰徳監督がマウンド付近で胴上げされ、宙に舞う。
横浜DeNAベイスターズのベンチには、その様子をじっと見つめる選手たちの姿があった。キャプテンの筒香嘉智をはじめ、同点打を食らった山﨑康晃、戸柱恭孝、伊藤光、倉本寿彦、柴田竜拓、上茶谷大河、伊藤裕季也らは、悔しさを胸に秘め、カクテル光線に照らされた歓喜の光景を脳裏に焼きつけていた。
その中で、目を赤く腫らしていたのが今シーズンからDeNAに加入した中井大介だった。
ユーティリティー性を十分に発揮。
昨年まで11年間所属した巨人が優勝し、目の前ではかつての仲間たちが歓びを爆発させている。中井には、どんな想いが去来していたのだろうか……。
巨人を自由契約となりトライアウトを経て新天地へ挑んだ今季、中井は求められていたユーティリティー性を十分に発揮した。主にセカンドを守り、時にはサード、ファースト、そして外野と、チーム状況によって変化する役割に柔軟に対応し、時にはファインプレーを披露しチームを支えた。
また打撃においては、今季ここまで77試合に出場し打率.253(データは9月26日現在、以下同)、出塁率.324、OPS.659と中井のこれまでのキャリアにあって高い数字を残している。
とくにスタメンを張ることが多かったサウスポー相手には打率.271、また右打者の切り札として代打での出場の際は得点圏打率.333と勝負強さを発揮した。加えてシーズン後半は1番という難しい打順を任されるなど、中井のチームへの貢献度は高かった。