球体とリズムBACK NUMBER
オバマやケイティ・ペリーも大応援、
カルトなウェストハムに進撃の予感。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2019/09/25 08:00
ウェストハムを率いるペジェグリーニ監督。攻撃的なスタイルでプレミア6強体制を崩せるか。
ケイティ・ペリー、オバマが応援。
昨シーズンのこの時期は、4連敗スタートの後に持ち直し始めた頃で、降格圏のすぐ上を彷徨っていた。それをふまえると、今季の好発進は望外にも思える。ただしペジェグリーニが時間をかけて適切なバランスを見出したのなら、これぐらいの成果は付いてきて当然のものと言えるかもしれない。
名門のアカデミーから巣立ったライスがチームのへそに君臨し、セバスチャン・アレやパブロ・フォルナルスらの新戦力もフィット。ノーブルやパブロ・サバレタ、ルーカス・ファビアンスキ、アンジェロ・オグボンナといったベテランも元気だ。
ウェストハムを応援するのは、クラブアンセム『I'm forever blowing bubbles(私はいつまでもシャボン玉を吹き続ける)』をカバーしたコックニー・リジェクツ以外にも、アーティストや著名人が多い。
英国映画界の巨匠アルフレッド・ヒッチコック(故人)、フットボール映画『ベッカムに恋して』で新人賞を取った女優キーラ・ナイトレイ、ルックスも口調もシャープで皮肉っぽいコメディアンのラッセル・ブランドとその元妻で米国を代表するポップシンガーのひとりケイティ・ペリー、そして元米国大統領のバラク・オバマと、錚々たる面子だ。
彼らは今シーズンこそ、チームが1980年のFAカップ以来のタイトルを獲得してくれる、とまでは願っていないかもしれない。けれど、儚いシャボン玉のような刹那的な輝きに止まらず、過去3シーズン上位を独占した6強を脅かすようになれば──ちょうどペジェグリーニが率いた2000年代のビジャレアルがスペインの2強に割って入ったように。
リーグ優勝経験のないウェストハムのカルトな人気に、もっと火がついてもおかしくはない。