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中島翔哉が苦闘中、ポルトの内情。
血の気が多い監督に強烈なライバル。 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byGetty Images

posted2019/09/26 11:50

中島翔哉が苦闘中、ポルトの内情。血の気が多い監督に強烈なライバル。<Number Web> photograph by Getty Images

セルジオ・コンセイソン監督との関係性が話題になる中、中島翔哉はCL優勝経験を持つ名門ポルトで立ち位置を確立できるか。

安西との日本人対決で監督が激怒。

 9月上旬の日本代表での活動を終え、15日のリーグ第5節(対ポルティモネンセ)に2-0とリードしている状況で72分から出場した。

 攻撃ではドリブル突破を阻止されてボールを失うことが多く、守備面では対面した右サイドバックの安西幸輝(前鹿島アントラーズ)へのマークが甘い。中島がピッチへ入って5分で、チームは2失点。とりわけ2点目は、ドリブルでマーカーを振り切った安西へのカバーを怠り、見事なミドルシュートを決められた。皮肉にも「日本人対決」が中島の課題を際立たせた。

 ポルトは98分に辛うじて勝ち越して勝利を手にしたが、コンセイソン監督は激怒していた。

 試合が終わるとすぐにピッチへ入り、背後から中島に声をかけた。しかし、中島は声が聞こえなかったのか、あるいは監督の言葉が理解できなかったのか、通り過ぎようとする。これを見て監督は中島の右手を強く引っ張り、額を寄せて激しい口調で叱りつけた。異常を察したチームメイトが間に入ったが、この光景は地元メディアで、さらには日本でも大きく取り上げられた。

現役時代から血の気が多かった監督。

 コンセイソン監督は、ウイングだった現役時代から血の気が多いことで知られる。公衆の面前で選手を叱るのは、指導者として褒められたことではない。

 試合後、中島とのやりとりについて聞かれると、「我々の間の問題」としたうえで、「自分の采配ミスが、試合をややこしくした」と顔をしかめた。これは“ドリブル突破に秀でているが守備に弱点がある中島を、勝っている状況で起用したのが間違いだった”とも受け取れる。

 その後のチーム練習で、監督は自ら中島に握手を求め、地元メディアは「監督が中島と和解」と報じた。しかし、19日のヨーロッパリーグのヤングボーイズ(スイス)戦で中島はベンチを温めた(チームは2-1で勝利)。

 中島の持ち味は、果敢なドリブル突破と精度の高いミドルシュートだ。その一方で、守備面の貢献が少なく、彼のサイドが穴となることが多い。

 これは、相手の攻撃力が低ければ問題とならないが、高いレベルの試合ではチームにとって致命傷となりかねない。今年6月のコパ・アメリカのチリ戦で日本は0-4と大敗したが、相手攻撃陣に中島の背後を突かれてピンチを迎えた場面が多かった。

【次ページ】 2列目左サイドの序列にも変化が?

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