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堂安律、PSVデビュー戦の手応えは?
オランダ代表揃いで「感覚が合う!」。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byGetty Images
posted2019/09/19 12:10
後半34分。元ポルトガル代表選手FWのブルマと交代する堂安律。右MFとしてプレーした。
“レジェンド”パク・チソンの存在。
もっとも、過去にPSVでプレーした“アジア人選手”はいる。
もちろん堂安も、その“レジェンド”の名を知っている。
今からおよそ17年前――。2002年に開催された日韓W杯で、韓国代表をベスト4に導いたフース・ヒディンクは、国中が赤く燃えた大会終了後、キャリアの中で2度目となるPSVの監督に就任。その際、ポルトガル代表、イタリア代表、スペイン代表……欧州の強豪を次々と撃破する原動力となった教え子を2人、呼び寄せたのである。1人はイ・ヨンピョで、もう1人が、パク・チソンだ。
当時25歳と年長のイが、加入直後からコンスタントに力を発揮していったのに対して、21歳という若さもあってか、パクは負傷も重なり、適応に苦労した。環境に慣れ始めたのは'03/'04シーズンの終わり頃からで、アリエン・ロッベンがチェルシーに移籍して抜けると、ようやく3年目の'04/'05シーズンからPSVの主軸として活躍するようになった。
スイス代表のヨハン・フォーゲル、オランダ代表のフィリップ・コクー、現監督のマルク・ファンボメルと中盤を形成。
“3つの肺を持つ男”は、無尽蔵とも言えるスタミナと足元の正確な技術を武器に、精力的に戦った。
ファーガソンに認められたパクの偉大さ。
パクのPSVでのキャリアのハイライトは、そのシーズンのチャンピオンズリーグ(CL)になるだろう。
フレンキー・デヨング、ドニー・ファンデベーク、マタイス・デリフトらを擁して昨季のCLで快進撃を見せたアヤックスのように、'04/'05シーズンのPSVもベスト4に進出したのだ。
ACミランとの準決勝では、アウェイ・ゴールの差で敗れることになったが、パオロ・マルディーニ、アレッサンドロ・ネスタ、カフー、アンドレア・ピルロ、カカ、アンドリー・シェフチェンコら往年の名選手を擁するミランを相手に、パクは気を吐いた。
2ndレグでは先制ゴールを決めるなど、その活躍は欧州のトップレベルに相応しいものだった。
そしてアレックス・ファーガソンに認められ、翌シーズンにはマンチェスター・ユナイテッドへの移籍を果たすことになるのである。