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FIFA「ファン・アウォード」候補。
“2人のニコラス”を巡る深イイ話。 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byAlexander Hassenstein - FIFA /GettyImages

posted2019/09/16 20:00

FIFA「ファン・アウォード」候補。“2人のニコラス”を巡る深イイ話。<Number Web> photograph by Alexander Hassenstein - FIFA /GettyImages

昨年、FIFA「ファン・アウォード」を受賞したペルー代表サポーター。今年も南米勢が受賞するか?

テレビのピッチレポーターが気付いた。

 昨年9月の試合中、パルメイラスのベンチの真後ろの観客席で女性が盲目の少年にひっきりなしに話しかけているのをテレビのピッチレポーターが気付き、2人の様子を映像で流した。それが大きな反響を呼び、後日、クラブの練習場に招かれ、監督、選手らと親しく交流した。今年8月末にはクラブの創立105周年記念パーティーに招かれ、「ファンの鑑」として特別表彰を受けた。今では、パルメイラスのクラブ関係者とファンで彼らを知らない者はいない。

 2人は今月のブラジル代表のアメリカ遠征にも招待され、ブラジル代表のスター選手らと交流。6日にマイアミで行なわれたコロンビア戦で、ニコラス君はエース・ネイマールと手をつないで入場した。 

 ブラジル国歌の吹奏中、ネイマールは右手でニコラス君の肩を抱き、左手で彼の左手を握っていた。シルヴィアさんは、「ピッチに入ったとき、ニコラスは大きな爆竹の音に驚いて、少し怖がっていた。でも、ネイマールがそれを察して、気遣ってくれたの。彼には心から感謝しています」とコメント。

 これを知った国民からは、「このところ公私両面でトラブル続きのネイマールだが、たまにはいいこともするらしい」という声が聞かれた。

首都モンテビデオのライバルクラブ。

 ウルグアイのフスト・サンチェスさんの応援ぶりも、ちょっと普通ではない。

 首都モンテビデオの下町に、セーロとランプラ・ジュニオールというライバルクラブがある。いずれもウルグアイ1部リーグに所属するが、ビッグクラブではない。

 フストさんはセーロの、そして息子のニコラス君はランプラ・ジュニオールの熱心なファンだった。ニコラス君はサポーター・グループに入り、ほぼすべての試合に駆けつけ、大きな旗を振り回し、声をからして応援していた。

【次ページ】 ニコラス君が自動車事故で死亡した。

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