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ペップ、クロップを抑え最優秀監督!
プレミアの国産監督はなぜ増えた?

posted2019/09/16 11:50

 
ペップ、クロップを抑え最優秀監督!プレミアの国産監督はなぜ増えた?<Number Web> photograph by Getty Images

シェフィールド・Uのクリス・ワイルダーは、グアルディオラやクロップよりも票を集め、最優秀監督に輝いた。

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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Getty Images

 原点回帰へ──。

 今シーズンのプレミアリーグには、ピッチにもベンチにもイングランド人が多い。Number欧州蹴球名鑑のコラムでも書いたが、スリーライオンズの強化を目的に『ホームグロウンルール』が制定されてから9年が経ち、近年はどのクラブでも国産の若手が存在感を放っている。

 一方、国産指揮官の増加は今シーズンの特徴だ。その数は8人。これは昨シーズンの開幕時の倍だ。世界で最も経済的に潤うリーグはこれまで、有能な外国籍の監督をたくさん招き、彼らの手腕に発展を委ねてきたところがある。

 スペイン人のジョゼップ・グアルディオラ、ドイツ人のユルゲン・クロップ、アルゼンチン人のマウリシオ・ポチェッティーノと、今もトップチームの指揮官はイングランド人ではない。だが、彼らの先進的な手法を間近で見てきたホームグロウンの指導者たちが徐々に台頭し、その数が近年で最多となったと言える。

 叩き上げの苦労人、変わり種の智将、リーグ史上最年長のボスなど、それぞれのキャラクターも際立っている。

ペップらを抑えて最優秀監督になった男。

 昨シーズンのチャンピオンシップ(2部リーグ)を2位で終えたシェフィールド・ユナイテッドのクリス・ワイルダーは、セミプロから指導を始め、苦節18年をかけてプレミアリーグに到達。しかもこの51歳の元フルバックは今年、リーグ監督協会から最優秀監督に選出されている。

 この賞はプレミアリーグから4部までの監督が対象となり、昨年はグアルディオラ、一昨年はアントニオ・コンテが受賞。つまりワイルダーは今年、同業者たちからグアルディオラやクロップよりも優れた手腕を見せたと称えられたわけだ。

 プロの選手キャリアを歩み始めた心のクラブ、シェフィールド・Uで見せる斬新なスタイル──攻撃時に3バックの左右が積極的に前の選手を追い越していく──は、今季序盤戦の論点のひとつになっている。

【次ページ】 「彼はブライトンで終わる玉じゃない」

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