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セリーナvs.ヒンギスの構図に似た、
大坂なおみとベンチッチの宿敵関係。
posted2019/09/03 20:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
大坂なおみの全米オープン連覇の夢は4回戦で散った。インディアンウェルズ、マドリードと今年2連敗中だった同世代のライバル、ベリンダ・ベンチッチに三たび敗れて……。
「今、何がいけなかったかということをあれこれ答えたくない。もっと前向きに考えたい」
勝敗を分けたものを聞かれて大坂はそう答えたが、大坂が負けたという以上に、ベンチッチが勝った試合だった。
アンフォーストエラーの少なさはベンチッチの強みで、加えて正確かつ多彩なショットで大坂の強打に対抗する。
立ち上がりのサービスをいきなりブレークされた大坂は、第4ゲームでブレークバックに成功したものの、5-5で再びブレークを許した。第12ゲームではふたつのダブルフォルトをもらいながらもそれ以外にポイントを奪えなかった。
第2セットもベンチッチの安定感は変わらず、第5ゲームをラブゲームでブレークされた大坂は、その後ブレークチャンスすら握ることもできなかった。
相手は明確なプランを持っていた。
「ベリンダ(ベンチッチ)はしっかりとプレーしていた。やるべきことの明確なプランを持っていたんだと思う」と言ったが、その通りだった。
ベンチッチはこう明かしている。
「私は相手のテニスに応じたプレーをするのが得意なの。すごいパワーがあるわけじゃないし、ウィナーもエースもたくさんとれないけど、相手が嫌がるプレーをするようにしている。なおみに対してだけじゃないけど、ボールを早くとらえて、相手の動きを予測するという私のプレーが彼女に対してうまくいっている」
それは、試合直後のオンコート・インタビューでの「私はチェスをするような感じでプレーしている」というたとえの補足でもあった。