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奇跡から3年、渋くレスター進化中。
バーディーと新世代が6強体制を崩す。 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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photograph byGetty Images

posted2019/08/31 11:40

奇跡から3年、渋くレスター進化中。バーディーと新世代が6強体制を崩す。<Number Web> photograph by Getty Images

バーディーの決定力が衰え知らずの中で、若い選手たちも台頭しつつあるレスター。プレミア勢力図を塗り替える存在となるか。

奇跡の優勝からもう3年が過ぎた。

 早いもので、レスターのリーグ優勝から3年が過ぎた。カンテがチェルシーに、リヤド・マフレズもマンチェスター・シティに去り、岡崎もマラガに新天地を求めている。偉業を知る者はバーディー、カスパー・シュマイケル、オルブライトン、ウェズ・モーガン、クリスティアン・フクスの5人だけだ。

 しかも定位置を確保しているのは、バーディーとシュマイケル。勝負の世界はかくも厳しい。とはいえ、栄光を知る実力者を隅に追いやるほど、今シーズンのレスターは充実している。

 特に中盤だ。クリエイタータイプのジェームス・マディソン、ユーリ・ティーレマンス、スピード豊かなウイングとして評価が右肩上がりのデマーレイ・グレイ、ハーベイ・バーンズ、アンカーには長いリーチを活かしていとも簡単にボールを狩るウィルフレッド・ディディ、巧みなパスカットと豊富な運動量が特徴で、モータウンサウンドのメンバーを思わせるヘアスタイルも楽しいハムザ・チョウダリーなど多士済々だ。

 6選手の平均年齢は22歳。数年後が楽しみだ。

ポゼッション、カウンターを使い分け。

 だからこそブレンダン・ロジャーズ監督は、ことし3月の就任以降、彼らの技巧を活かしたポゼッションと、一瞬のスピードを武器とするショートカウンターを使い分けているのではないだろうか。

 後方からビルドアップする際、GKシュマイケルが前線に放り込む確率は低い。ロングボールの精度が高く、弾道の高低も使い分けられるキックの名手だが、昨シーズン中盤からつなぎを意識するようになった。

 シュマイケルがボールを保持すると両センターバックが開き、その間にアンカーが下りてくる。そしてティーレマンス、あるいはマディソンがマーカーから外れ、フリーでボールを受けるのがベーシックなパターンだ。このとき両サイドバックも高い位置をとっている。

 また、チーム全体に守備意識が浸透しているため、ハイプレスからのショートカウンターも見応えがある。

 3節のシェフィールド戦でもアジョセ・ペレスとティーレマンスが囲い込んでミスを誘い、こぼれたボールをマディソンが相手センターバックとサイドバックの間にスルー。絶妙のタイミングで反応したバーディーが、シェフィールドGKディーン・ヘンダーソンのニアを抜いた。

【次ページ】 32歳バーディーの裏抜けは健在。

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