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奇跡から3年、渋くレスター進化中。
バーディーと新世代が6強体制を崩す。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2019/08/31 11:40
バーディーの決定力が衰え知らずの中で、若い選手たちも台頭しつつあるレスター。プレミア勢力図を塗り替える存在となるか。
32歳バーディーの裏抜けは健在。
いやはや、バーディーは相変わらず凄い。32歳になっても裏が大好きだ。90分に渡って相手DF陣と駆け引きを繰り返し、何度となくオフサイドになっても決してあきらめない。負荷のかかる動きだが、バーディーは試合終盤になってもスピードを維持できている。
信じられないようなタフネスなのか、あるいはスーパー・ド根性なのか。32歳のベテランが汗をかくのだから、平均年齢22歳のMFが歩いているわけにもいかない。マディソンは頻繁にプレスバックする。逆サイドまで戻ってくるケースもある。
ティーレマンスとディディ、チョウダリーは最後まで身を挺する。まさしく相乗効果だ。
マグワイアが抜けたDF陣が懸念材料。
懸念材料はDF陣だろう。ベン・チルウェルとフクスを揃える左サイドはともかく、そのほかは質量ともに不足している。右サイドはリカルド・ペレイラだけだ。
しかもプレーが軽く、帰陣がやや遅い。ジェームズ・ジャスティンも対応可能とのことだが、ルートン(3部)からやって来たばかりだ。プレミアリーグに即フィットするとは思えない。
ジョニー・エバンスとチャグラル・ソユンクが基本のセンターも、控えがウェズ・モーガンだけでは心もとない。ユナイテッドに移籍したハリー・マグワイアの穴はやはり大きかった。
3年前、キャプテンとしてリーグ優勝に貢献したモーガンも、35歳になって左右の動きに脆くなった。有事の際は経験豊かで状況判断にも優れたフクスをセンターに、対人プレーに強いチョウダリーを右サイドに起用し、守備のタスクにまっとうできるオルブライトンも中盤に必要だ。
今シーズンの基本配置は4-1-4-1だが、シェフィールド戦の終盤で採用した5-3-2、ディディとチョウダリーのふたりをアンカーに起用する4-2-3-1など、ロジャーズ監督には柔軟な人選も求められている。