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100年に1人の逸材擁する韓国も撃破!
育成実る女子バレーの未来は明るい。 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byXinhua/AFLO

posted2019/08/28 18:00

100年に1人の逸材擁する韓国も撃破!育成実る女子バレーの未来は明るい。<Number Web> photograph by Xinhua/AFLO

若手主体の女子日本代表がアジア選手権で優勝。準決勝では強敵韓国を、決勝ではタイを破った。

キム・ヨンギョンから祝福された石川。

 もはや「石川祐希の妹」ではなく、もう立派な「世界を制したエースの石川真佑」なのだが、成し遂げた快挙以上に嬉しかったことがある。

 表彰式ではキム・ヨンギョンと並んで、ベストアウトサイドヒッターに選出されたのだ。個人表彰の最後にMVPが発表される時には、隣にいるヨンギョンから「ほら、あなたの名前が呼ばれるよ」とばかりに笑顔で突つかれた。

「表彰式の後、一緒に写真を撮ってもらったんです。そうしたら“よかったですね”って。戦えただけでもすごいのに、ずっとテレビで見ていた選手と2人で並ぶことができて、そんな風に言われて、めちゃくちゃ嬉しかったです」

育成、強化が実った明るいニュースのはず。

 U20世界選手権で勝利し、アジア選手権も制したのだからこのままワールドカップもこのメンバーで臨めばいい。そう思う人もいるかもしれないが、来年に迫る五輪に向かうトップカテゴリーで同じように戦い、勝てるほど甘くはない。

 とはいえ、関菜々巳や長内美和子、中川美柚がネーションズリーグにも選出されたように、アンダーカテゴリーだからといってシニアに抜擢されるチャンスがないわけではない。

 MVPの石川に対して女子日本代表の中田久美監督も「可能性も力もあるし、新しい力としてどんどん出て来てくれれば、それがチームの勢いにもなる」と高い期待を寄せており、この快挙が後押しになる可能性は大いにある。

 ただ世界で勝った、アジアで勝ったという結果だけではない。過程を見れば長い年月をかけてアンダーカテゴリーの育成や強化に努めて来た背景があり、すぐ先の未来につながる可能性あふれる選手たちがいる。

 だからこそ、あえて苦言を述べるなら、これ以上ない明るいニュースを取り上げるメディアが少ないことだろう。少なくとも他競技ならば、帰国時の空港取材に4人しか来ず、ただ「へー、若い子が勝ったんだ」で終わらせてしまうような快挙ではないはずだ。

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石川真佑
キム・ヨンギョン

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