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99試合ぶりの「7番・松田宣浩」。
ホークスに戻ってきた理想形打線。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2019/08/17 08:30
8月10日の日本ハム戦、福田秀平(左)とともに勝ち越しの生還を果たした松田。
工藤監督にとっての理想形。
7番、松田宣。これが、工藤監督にとっての理想形なのだ。今季の開幕オーダーを振り返ると、松田宣はたしかに7番で起用されていた。だが、開幕8試合目、グラシアルの故障欠場のため6番に繰り上がると、その翌日には柳田悠岐も怪我をして以降長期離脱となったことで、チームには7番に松田宣を座らせる余裕がなくなってしまっていたのだ。
8月10日の「7番、松田宣」はじつに4月5日以来、99試合ぶりに実現することが出来た“理想形”だったわけである。
ただ、一方で懸念も頭をよぎった。
果たして、松田宣の心中はいかに?
ホークス生え抜き14年目のベテランで、長らくチームの顔、チームの核を担っている男である。へそを曲げたりしていなければいいが……。
首脳陣から直接の説明はあったのか?
率直に訊ねてみた。久しぶりに7番に座ったけど、事前に工藤監督や首脳陣から直接の説明など配慮はあったのか――?
松田宣はこともなげに、答えてくれた。
「何もないですよ。普通にロッカーでホワイトボードを見て確認しました。嫌な気持ち? そんなのあるわけない! 僕は試合に出ることに対するこだわりは強いけど、打順については何もない。逆に下位の方が第1打席まで時間があって集中できるし、前の打者までの配球も見られるからいいじゃないですか」
松田宣は建前で話すタイプではない。偽りのない本音だろう。
「それに7番バッターがホームラン30発とか打っていたら相手チームは嫌でしょ。それって最高じゃないですか(笑)」