ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
苦手な夏に月間MVP、鼓舞する姿も。
十字架背負う山崎康晃へ高まる信頼。
posted2019/08/16 18:45
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
その信頼は決して揺らぐことはない――。
8月12日のヤクルト戦。4-2のリードで迎えた9回裏、マウンドに上がったDeNAの守護神・山崎康晃は、自身初となる1イニング2本塁打を浴び劇的なサヨナラ負けを喫してしまう。
首位巨人を追走するDeNAとしては痛い敗戦だったが、指揮官であるラミレス監督は「ベストなピッチャーで負けたので仕方がない」と落胆の色を見せることなく山崎をフォローした。今季の山崎は、それぐらい絶対的な存在であると言っていい。
7月に初の月間MVPを獲得。
4月25日の阪神戦以来の救援失敗となり2敗目(データは8月15日現在、以下同)を喫するも、山崎はここまで防御率1.64、さらにリーグ最多となる25セーブで、昨年につづきセーブ王のタイトルも見えてきている。また特筆すべきは7月に1勝7セーブ、防御率0.75で自身初となる月間MVPを獲得していることだろう。
入団以来、クローザーに君臨し5年目となるが、山崎といえばどうしても夏場に調子を崩し、打ち込まれるケースが多かった。連投になるとあからさまにストレートの球威が衰え、ツーシームは切れを失う。ちなみに昨年の7月は防御率7.11とスランプに陥り、その後も秋口まで苦しい時間を過ごすことになった。
なぜ今年の夏、山崎は崩れることなく調子をキープしているのか?
ブルペン担当バッテリーコーチの藤田和男は次のように証言する。
「今年はボールを見ていても波が少ないというか、常に低めにキープされています。膝よりも上にボールがいかない。そこがいつもの夏とは違うと思いますね。技術というよりも、経験からくるコンディショニングが上手くいっているんだと思います」
山崎本人に何故なのか率直に尋ねてみた。
「今までの夏と同じではいけないなって」
確信を込めた言葉には熱がこもっている。