野球のぼせもんBACK NUMBER
99試合ぶりの「7番・松田宣浩」。
ホークスに戻ってきた理想形打線。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2019/08/17 08:30
8月10日の日本ハム戦、福田秀平(左)とともに勝ち越しの生還を果たした松田。
中村晃に誰よりも大きな歓声が。
一軍に合流したばかりのグラシアル、中村晃、福田秀平が即スタメンで起用された。グラシアルがキューバ代表として参加していた国際大会から戻ってきたことが大きいが、試合前のスタメンコールでは中村晃が誰よりも大きな歓声を浴びていた。今季は自律神経の病から一旦復帰するも、今度は6月中旬に腰の張りを訴えてまた戦列を離れていた。成績は振るわないが、やはり彼の名前がオーダーの中にあるだけで安心感が違ってくる。ファンもそれをよく知っている。
5番グラシアル、6番中村晃……。良い並びだ。ただ、ある意味それ以上に「お~」と感嘆の声が漏れたのは、その次のところだった。
7番、三塁手、松田宣浩。
これはやるな工藤監督、と思わず唸ってしまった。
松田宣は直前の試合では5番を打っていた。その日は3打数無安打に終わっていたものの、もう一日遡ると3安打2打点と活躍。さらにその日まで6試合連続安打もマークしていたのだ。つまり調子が落ちていたわけではなかった。
「得点のカギを握るのは6番や7番」
そもそも今季の松田宣は例年以上の快調だ。10日の試合前時点で打率2割8分3厘、24本塁打、61打点。特に打率は、昨シーズンが2割4分8厘と苦しんだが、「今年は調子の波が小さい」と自賛する打撃内容が続いている。
その松田宣を、敢えて打順を下げて7番に起用する。
工藤監督の強いこだわりがそこにはある。
「打線の中で得点のカギを握るのは6番や7番だと考えています。上位が出塁してクリーンナップが還すというのも理想ですが、中軸には良い打者が揃っているわけで、6番や7番のところには走者を置いて回ってくるケースが多くなります。
そうなると1つの得点もそうだし、大量点の期待も高くなります。また、7番でチェンジになってしまうと次の回は下位から始まりますが、繋がることで(次の回は)上位から攻撃を始められることにもなる。だから6、7番というのは僕にとっては大事な打順。なるべく調子の良い選手を入れたいと思っています」