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ドイツのカップ戦は1回戦から熱狂。
5部クラブの夢と大迫勇也の洗礼。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/08/20 19:00
大迫勇也擁するブレーメンが戦ったポカール1回戦、“いつもの”本拠地は、デルメンホルストサポーターの熱狂に包まれた。
ブンデスとともにポカールも開幕。
ドイツのサッカーシーンもようやく心躍る新シーズンが始まりました。チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの各予選に出場するクラブはすでに公式戦を戦っていましたが、ドイツ国内はDFLスーパーカップでシーズンの幕が開けました。
バイエルン(ブンデスリーガ&DFBポカール王者)とドルトムント(ブンデス2位)のゲームは、パコ・アルカセル、ジェイドン・サンチョのゴールでドルトムントが快勝! ルシアン・ファブレ率いるドルトムントは、今度こそバイエルンを盟主の座から引きずり降ろそうとフルスロットルで臨み、見事に今季最初のタイトルを獲得しました。
そして、8月9日からはDFBポカールの1回戦が開催されました。
DFBポカールの出場条件は少々複雑です。大会方式は各ラウンドとも1試合勝負のノックアウトトーナメント。ブンデスリーガ1部の18チーム、同2部の18チームは無条件で出場権を得られ、続いてブンデスリーガ3部の昨季上位4チームも参加資格を得られます。
残りはドイツ21地域協会が開催する各カップ戦の昨季覇者、そしてクラブ加盟数が多いバイエルン、ニーダーザクセン、ベストファーレンの各地域協会主催のカップ戦準優勝クラブ3チームを加えた、計64チームが各カテゴリーの差異なく1回戦から激突します。
1回戦は下部カテゴリーの本拠地で。
ただし、1回戦は必ずブンデスリーガ1部・2部のクラブと下部カテゴリーに所属するクラブとが対戦し、会場は下部カテゴリー所属クラブのホームです。これには1部や2部クラブとの対戦で下部カテゴリーのクラブに収益が見込まれ、結果ドイツサッカー界全体の活性化に寄与するという思惑があるのです。
サッカーはドイツ随一の人気を誇るスポーツです。その所属カテゴリーに関わらず、各地域には創設から100年以上の歴史を誇るクラブが数多く存在して、人々は総じて自身と縁のあるクラブチームを応援しています。ドイツの方々のサッカーに注ぐ情熱はドイツ・ブンデスリーガがヨーロッパ一の年間集客数を記録していることからもうかがいしれます。
しかも、この国では下部カテゴリーのクラブでもスタジアムが超満員の観衆で埋まるのがざらでして、特に滅多に対戦することがないトップランククラブが下部カテゴリークラブと対戦する可能性の高いDFBポカールのゲームとなると壮絶なチケット争奪戦が勃発することもあるほどです。