ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
デブライネの天才的チャンスメーク。
マンC「右の崩し」は芸術の域に。
posted2019/08/20 11:50
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph by
Getty Images
4カ月前を思い出さずにはいられない結末だった。
マンチェスター・シティがホームにトッテナムを迎えたプレミアリーグ第2節のこと。2-2で後半アディショナルタイム、ケビン・デブライネのクロスが相手に当たり、シティがこの試合12本目のCKを獲得する。
デブライネの右足から放たれたボールはアイメリック・ラポルテとオリバー・スキップの競り合いでコースが変わり、そのこぼれ球にいち早く反応したガブリエル・ジェズスがボールを拾った。
彼のシュートを、守るトッテナムは3人が体を投げ出して止めようとしたが、その間隙を縫ってボールはネットに吸い込まれた。
抱き合う水色のユニフォーム、拳を天に掲げるG・ジェズス、歓喜に沸くエティハド・スタジアム。
ところが、ここで“物言い”が入った。ボールがこぼれるきっかけとなった場面で、ラポルテにハンドがあったとして、今季からプレミアリーグでも導入されたVARにより、ゴールが取り消されたのだ。
勝ち越し失敗。奇しくも、それは今年4月の再現になった。
CL準々決勝に続くゴール取り消し。
チャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグ。シティは90+3分にラヒーム・スターリングがトータルスコア5-4となる決勝ゴールを挙げたかに思われた。しかしその直前、ラストパスを出したセルヒオ・アグエロにボールが渡った場面がオフサイドだったとして、ゴールは無効になった。
まさにミリ単位の際どい判定で、VARでなければ見逃されていたであろうジャッジだったが、そのままシティはアウェーゴール差により、CLの舞台から姿を消したのだった。
今回はリーグ戦で、負ければ終わりのCL決勝トーナメントとは違うシチュエーションだった。だから、試合終了の笛が鳴ってもあの時のような勝者と敗者のコントラストが生まれることはなかった。
G・ジェズスが不満顔で主審に抗議していたが、興奮もすぐに収まった様子だった。他の選手たちも、ペップ・グアルディオラも、おとなしく(時には笑顔も見せて)スタジアムから引き上げていた。