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韓国のC・ロナウド訴訟騒ぎへの反応。
イタリアでは「W杯の誤審を忘れない」。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2019/08/06 17:30
地元では圧倒的な人気を誇るクリスティアーノ・ロナウド。韓国での欠場騒動が大騒ぎになっている。
怒りのほとぼりが冷めるのを待っている?
私企業であるユベントスは一時の感情を押し殺して、日々の業務へ邁進することができる。世界一の選手であり続けるという壮大な目標を持つC・ロナウドも然り。
だが、彼の国に対するイタリアのサッカーファンひとりひとりの心情は、やはりクラブやバロンドール受賞者のそれとはちがっているのだ。
トリノの老舗有力紙『ラ・スタンパ』の番記者にお膝元の反応を聞いてみた。
ジャンルカ・オッデニーノ記者はバカンスが終わったことを嘆きながら「今回の騒動を知ってはいるけど、イタリアのメディアにとってあまりニュースバリューはないね」と冷静に説いた。
「親善試合をめぐって謝罪だの違約金だの前代未聞だよ。一応動きは追っているが、損害賠償請求とやらは試合を観に来たファンの怒りの矛先を逸らすための、主催者とKリーグによるカモフラージュだろうと私は見ている。主催者は“悪いのはロナウドとユベントスです”、“私たちも被害者なんです”と言うことで怒りのほとぼりが冷めるのを待っているんだろう」
契約内容を外部に漏らすのはタブー。
問題の焦点となっている“C・ロナウドの45分間出場義務”についても、彼と意見交換してみた。契約書に書かれてある、という特記条項については、本当に書かれているのかどうかは契約を交わした当事者以外誰にもわからない。
本来、契約内容は機密事項で外部に漏らすことはタブーだ。ユベントス側に漏らすメリットはないし、主催者が契約内容を表沙汰にしたこと自体、重大なビジネスマナー違反にあたる。怒るとしたらユーベ側の方だ。
アジア遠征は欧州ビッグクラブの集金ツアーと揶揄されることもあるが、彼らにとっては尊重すべきビジネスであるからこそ「指名選手の出場時間」や「ファンサービス参加」については厳格に「付帯条件」が取り決められていたはずだ。