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GK6人目のJ1通算300試合出場。
38歳の西部洋平は雌伏の時を経て。
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/08/03 11:40
第11節の川崎戦、J1通算300試合出場達成のセレモニーでは息子の陽くんから花束を贈呈された。
動揺を見せないベテランの影響力。
「昔は勝ってもほとんど感情を出さなかったし、その方が良いと思っていたけど、最近は頑張った選手のところへ行くようにしている」
勝利に歓喜し若手の労をねぎらうベテランの姿に、スタンドからは「よくやった西部!」と熱い声援が飛んだ。
この勝利で最下位を脱出したチームは、その後上昇へと転じていく。20試合を終了して14位は、まだ降格への危険水域を脱したわけではない。まして全42失点もリーグでワーストではあるが、クラブ関係者は「一時の停滞感はない。チームのムードも良い」と語っている。
そして、羽田敬介GKコーチは「ひとつのミスから次のプレーもおかしくなって、それが他の選手に伝染するという不安は西部にはない。心の動揺を見せてはいけないポジションだし、それがないベテランなので、チーム全体のコントロールを任せられる」と経験豊富な西部の影響力を高く評価した。
清水に復帰した2016年の出来事。
西部には今季と同じようにチーム浮上のきっかけをつくったシーズンがある。2004年から2010年まで清水でプレーし、その後湘南ベルマーレと川崎を経て古巣に復帰した2016年のことだ。
この年、清水はクラブ史上初めてJ2を戦うことになった。それを憂えて復帰を果たすと、加入会見で「開幕戦からフル出場し、必ず1年でJ1に復帰させる」と誓った。
しかし、チームも西部も思惑通りに事は進まなかった。開幕からフル出場して迎えた第6節ロアッソ熊本戦。2-0で勝利した試合の後半、西部は右足のケガで途中交代して長期離脱となった。