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GK6人目のJ1通算300試合出場。
38歳の西部洋平は雌伏の時を経て。

posted2019/08/03 11:40

 
GK6人目のJ1通算300試合出場。38歳の西部洋平は雌伏の時を経て。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

第11節の川崎戦、J1通算300試合出場達成のセレモニーでは息子の陽くんから花束を贈呈された。

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望月文夫

望月文夫Fumio Mochizuki

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 今季序盤は低迷していた清水エスパルスが徐々に上昇へと転じ始めた。若いチームをけん引するのは、チーム最年長の38歳、GK西部洋平である。

 今季開幕戦となったサンフレッチェ広島とのアウェー戦。1―1で迎えた終了間際、後輩のGK六反勇治が相手のシュートを顔面に受けて負傷退場すると、代わってピッチに立った西部は相手のパワープレーを押しとどめて、大事な開幕戦を敵地でのドローに持ち込んだ。

「終盤の流れを見れば、引き分けでもポジティブに考えられる」

 約5分間の出場だったが、ベテランの冷静なプレーが貴重な勝点を呼び込んだ。

 その広島戦が、西部にとっては川崎フロンターレ在籍時の2015年10月24日、横浜F・マリノス戦以来、約3年半ぶりのJ1出場だった。

 長く足踏みしていたJ1通算出場試合数は299に達し、節目の300に王手をかけた。大台到達へ「しっかりと準備はしておく」と意欲を見せたが、第2節からも六反が先発で起用され、記録達成は一旦お預けとなった。

古巣・川崎戦で300試合出場達成。

 ところが六反が左足の捻挫で長期離脱したことで、再び西部にチャンスが巡ってきた。

 5月、古巣の川崎相手となった第11節、雌伏の時を経てJ1のGK史上6人目となる300試合出場を達成した。

 ただし、記念の試合はリーグ王者に0-4と大敗。試合後には、チームの不振を理由にヨンソン前監督の退任も発表された。残り2試合となってから約3年半を要した記録達成にも「悔しすぎて(300試合のことは)考えられない」と笑顔はなかった。

 それでも篠田善之新監督で再スタートしたチームは、第13節ベガルタ仙台戦で4-3と打ち合いを制し、新体制後のリーグ戦初白星を挙げた。終了のホイッスルとともにピッチに倒れ込んだ西部は、素早く起き上がると後輩選手たちと抱き合って喜んだ。

【次ページ】 動揺を見せないベテランの影響力。

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