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遠藤保仁、公式戦1000試合出場。
定位置を失っても新たな輝き方。
posted2019/08/05 11:30
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
J.LEAGUE
世代を超えて知られる童謡『大きな古時計』。移りゆく時の流れに抗えない悲しい定めをテーマにしたこの曲にこんな一節がある。
100年休まずに、チクタクチクタク……
日本を代表するプレーメーカー、遠藤保仁もまた、22年間休まずに、その時を様々なピッチ上で刻み込んできた。
8月2日のヴィッセル神戸戦で到達したのは、日本人選手としては前人未到となる公式戦1000試合出場という大記録である。
日本代表では歴代最多の国際Aマッチ152試合を記録し、昨年はフィールドプレーヤーとして初のJ1通算600試合出場を達成。数々の金字塔を打ち立ててきた遠藤が、一貫して公言してきたのは「数字には興味がない」という遠藤らしい言葉だった。
そんな“記録男”が、1000試合到達を目前にした7月下旬、率直な胸の内を明かすのだ。
「色々な監督とのめぐり合わせも大きかったし、周りの選手に助けられた部分もいっぱいある。ただ、ここまで積み上げられたのは嬉しくも思いますし、凄い記録だなと思う」
かつての盟友・明神もお手上げ気味。
凄い記録――。図らずも、かつてガンバ大阪で遠藤とボランチでコンビを組んだ明神智和も、遠藤の大記録達成を前に、同じ言葉を口にしていた。
7月28日のJ3でガンバ大阪U-23と対戦した長野パルセイロ。パナソニックスタジアム吹田での試合終了間際にピッチへ送り出された明神は、J1からJ3までの全カテゴリーと日本代表などを合わせれば公式戦700試合以上に出場してきたツワモノだ。
そんな41歳の鉄人でさえ「1000試合と言われても想像できないというか、ピンと来ない。比べる相手が日本にいないというのが、凄い記録ですね」とお手上げ気味の笑顔を見せていた。