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GK6人目のJ1通算300試合出場。
38歳の西部洋平は雌伏の時を経て。
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/08/03 11:40
第11節の川崎戦、J1通算300試合出場達成のセレモニーでは息子の陽くんから花束を贈呈された。
40歳が近づいても、もっとやりたい。
チームはその後、黒星が先行し、ムードも徐々に悪化していった。
「このままではJ1に復帰できない」と感じた西部は、ここからどう戦っていくべきなのか、練習後のピッチ上で青空ミーティングを実施した。さまざまな意見を出したことで、チームは再びひとつにまとまり、結果もついてきた。最後は9連勝でJ1自動昇格を果たした。
西部自身はその時のケガに始まり、長いリハビリと復帰直前での再発を繰り返し、J1での2017、2018年のリーグ戦出場はゼロに終わった。
だが今季は300試合出場を達成した川崎戦から10試合連続でフル出場。「試合に出ているからモチベーションが高いし、コンディションが作りやすい」と週に1度はある2部練習でも、若い選手たちとほぼ同じフルメニューをこなしている。
「最近は会う人に『よくそこまでできるな』って言われる。ここまでかなと思っていた40歳が来年に迫っているけど、近づいてきたらもっとやりたいと思うようになった」
羽田GKコーチも「まだ十分に伸びしろはあるし、まだまだ選手を続けていける」と太鼓判を押す。
「親に、奥さんに感謝したい」
そこに数字的な目標もできた。
「あっさり到達できると思っていた300試合をようやくクリアしたから、今度は350試合が節目になるのかなと」
そんな自身のこれまでを、ベテランはこう分析する。
「長くやれているのはまず体が動くこと。運動能力などを考えると、そこは親に感謝したい。栄養面で言えば奥さんに感謝。独身の時は食べることにこだわっていなかったから、結婚しなければここまで続けられなかったはずだから。
負けず嫌いの性格も大きいと思う。こういう年齢になって、これからのチームを考えれば、若い選手たちには育ってきてほしい。事実それぞれのポジションに良い選手が育ってきた。だけど練習が始まると、若い選手には絶対に負けたくない。その気持ちがなくなったら、ただのコーチだから(笑)」