フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ロッベンが引退直前に仏誌で告白。
盟友リベリーとバイエルンでの栄光。
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byStefan Hobmaier
posted2019/08/05 08:00
リベリーとの“ロベリーコンビ”でバイエルンを支えたロッベン。果たして彼はどんな選択をするのか。
リベリー抜きでこの10年はあり得ない。
――10年間をフランク・リベリーとともにプレーしましたが、ふたりの関係は年を経るごとにどう変わりましたか?
「時間の経過とともに親しくなっていった。率直に言ってフランク抜きでこの10年はあり得なかった。彼もまたクラブに大きな刻印を刻んだのは間違いない。たぶん彼も僕と同じ気持ちじゃないかな(微笑)。ひとつ言えるのは、僕らふたりで驚異的なパフォーマンスを実現することができたし、クラブのプレースタイルを変えながら格を少し上げることができたということだ」
――とはいえふたりの緊張関係は長く続き、特に2012年のレアル・マドリーとのCL準決勝第1戦のとき、リベリーがあなたの顔を殴って最高潮に達しました。
「たしかにあのときは興奮したけど今じゃ笑い話だよ。そこから僕らの関係はどんどん良くなっていった。災い転じて福となすってやつさ。フランクと心から理解しあえるようになったからね。
僕らはともに高いレベルで長くプレーできた。それはフィジカルコンディションの維持や食事への注意など、あらゆることに注意を注いできたからだ。秘密は何もない」
――彼もまたこの夏にクラブを去るのは象徴的ですね。
「ふたり同時にバイエルンを離れる。しかもアリアンツ・アレナでのリーグ最終戦(対フランクフルト。5-1でバイエルンの勝利)でともに得点を決めたのは運命を感じたよ」
――2013年5月25日のCL決勝、対ドルトムント戦で、リベリーのパスからあなたが決勝ゴールを決めたのが最高の思い出でしょうか?
「あの得点とフランクのアシストは一生忘れない。あれこそまさにコレクティブの象徴だった。彼のパスは本能的なもので、それがバイエルンにヨーロッパ再制覇をもたらした。僕らふたりがついにヨーロッパの頂点に立つことができた。ああ、もちろん最高の思い出だ」
W杯決勝での決定機、欠いた冷静さ。
――もうひとつ象徴的なのは、あのゴールが2010年のワールドカップ決勝で、あなたがイケル・カシージャスと1対1の局面で放ったシュートを思い起こさせたことでした。
「あのとき決められなかったのは、僕が冷静さを欠いていたからだ。でも2013年は自分に自信があったし、チームも前の年にCL決勝で敗れていたから(ミュンヘンでのチェルシーとの決勝は、1-1の後PK戦3-4で敗北)、僕はどうしても決めなければならなかった。
違いを作り出したのは勝利への強い意志だったけど、フィジカルコンディションも重要なポイントだった。南アフリカでの僕は切れ味を欠き、カシージャスを翻弄するためのエネルギーが足りなかった」