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3年ぶりに渡嘉敷来夢が戻ってきた。
女子バスケ代表にもたらす2つの成長。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2019/07/27 11:30
WJBLでは2018-19シーズン、1試合平均18.41得点(リーグ2位)10.23リバウンド(同2位)と好成績を残した渡嘉敷。
「8年間で2本」が「昨季だけで30本」。
まずは3ポイントシュート。
リオ五輪を最後に日本代表から離れている間に、指揮官は内海知秀HCからトム・ホーバスHCに替わり、戦術も変わった。ホーバスHCが採用しているシステムはコートに立つ5人全員に3ポイントシュートを求めるスタイルであり、センタープレーヤーがペイントエリアでの勝負に徹するスタイルではない。
「トムさんのシステムではセンターも3点(シュート)を打たないといけないですし、それができなかったら残れません。Wリーグでいくら良いプレーをしても、代表のプレースタイルに合わなかったら呼ばれない。そう思っています」
昨年の時点で新しい流れを素早く察知していた渡嘉敷は、既に昨シーズンのWリーグから3ポイントシュートに本格的に取り組み始め、リーグでの3ポイントシュートを激増させた。
2010-11シーズンから2017-18シーズンまでの8年間でわずか2本(成功ゼロ)だった3ポイントシュートを、2018-19シーズンには30本打ち、11本決めている(成功率33%)のだ。シュート力は代表合宿中にさらに上がり、ホーバスHCによれば「(成功率)40%くらいになっている」という。
ホーバスHCはこのように語る。
「渡嘉敷はずっとコンディションが悪かったけど、やっと良くなってきて今はヘルシー。外のシュートもきれいに、自然に打てるようになっている。日本のオフェンスは外も中も渡嘉敷に多くのチャンスがあるシステムだから、すごく楽しみです」
「ミスマッチ」への対策。
渡嘉敷が成長を感じているもうひとつの要素は「フットワーク」である。元々、193cmという長身の割にはフットワークの良かった渡嘉敷だが、スピードで勝負する小柄な選手と比べればさすがにアジリティーでは劣っていた。
ところが、ホーバスHCは、世界のバスケット界で主流になっているスイッチディフェンスを採用していることから、プレーの流れの中で長身選手が小柄な選手をマークする「ミスマッチ」の状況になることがたびたびある。
今までの渡嘉敷は、守備でスイッチが行なわれてガードの選手に付くことになったとき、スピードで抜かれてしまうことがあり、最後に高さでどうにかしのぐという守り方になっていたという。