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菊池雄星が明かす“花巻東高校で甲子園優勝にこだわった理由”「監督を男にしたい」「岩手の選手だけで日本一に」
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph byAFLO
posted2021/08/13 11:00
花巻東高校監督の佐々木洋監督にグータッチする菊池雄星(当時高3)
1回戦で対戦した新潟明訓を相手に、0-0の5回から2番手として登板した菊池は、その回、デッドボールとフォアボールで溜めたランナーをタイムリーヒットで生還させ、先制の1点を与えてしまった。その後、菊池は9回までゼロを並べたものの、その1点が決勝点となって、花巻東は0-1で敗れる。
その後、調子を崩した菊池は、2年の春も夏も甲子園へ出場することができず、最上級生として2年の秋季大会を迎えた。岩手県大会では優勝したものの、春のセンバツにつながる東北大会では、優勝する光星学院(現・八戸学院光星)に準決勝で敗れてベスト4止まり。センバツ出場は厳しいのではないかと囁かれていた最中、菊池は佐々木監督に呼ばれて、こんな話をされた。
「監督は僕に、しみじみと『いよいよオレとお前の最後の夏だな、あと1回きりだな、あっという間だったな』と言ったんです。そのときに監督が“覚悟”という言葉をノートに書いたのが見えました。僕は、この人は来年の夏、甲子園へ行けなかったら辞めようとしているんだな、と思いました。もちろん、そんなことは絶対にさせられないし、監督をどうしても勝たせたい。僕にも“覚悟”が必要だと思いました。結局、花巻東はセンバツに選ばれて準優勝したんですけど、あのときはまさか選ばれるとは思っていませんでしたから、監督と“覚悟”をともにしようと腹を括ったんです」
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