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小笠原満男が子供達に伝える向上心。
「柴崎選手は本気で取り組んでいたよ」
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/07/13 12:00
3月に鹿島のアカデミー・アドバイザーに就任した小笠原満男。子供たちからも多くのことを学んでいるようだ。
「良くも悪くもアントラーズしか知らない」
宮崎キャンプから帰ると、アントラーズの先輩たちが主催するサッカー教室や、かつてのチームメイトである野沢拓也が所属するFCティアモ枚方、知り合いが運営する町クラブなどを見に行って、サッカークラブの成り立ちを知った。
「今までアントラーズに長年いて、他のチームは聞いた話くらいで、良くも悪くもアントラーズしか知らない。いろんなチームを見ることで自分としての幅を広げようと思って」
家に帰れば「パパ、生きてたの?」と子どもからイジられるほど、せわしなく動き回り、多くの人と会って、多くのものを見て回った。
成長速度に「めっちゃおもしろい」
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新たな立場となって、およそ4カ月が経った。小学生年代から高校生年代まで、スクール17校、ジュニア3校、ジュニアユース3校、ユースを巡回する日々だ。
見て回るだけでなく、現場では実際、一緒にプレーもする。ときに球際で相手を吹っ飛ばして奪い切る姿は、現役時代さながらだ。
「やるからには真剣にやらないと。プロを目指したいんだったら、もっともっと意識を変えないといけない。『アントラーズのスクール、ジュニア、ジュニアユース、ユースに入ったことで満足するな。もっと上に行くんだぞ』というのは常に言っていること。
小学生なんかには『大人気ない!』って言われることも多々あるけど(笑)。でも、そうじゃない。『引退した俺に勝てないようではトップでやれないよ』って。そんな話をしながら、子どもたちとともにプレーしているのが現状ですね」
アカデミーを見るようになって、一番の驚きは“成長速度の違い”だという。
「とにかく成長が早い。2カ月で見違えるように変わる。特に小学生、中学生は2カ月で身長も伸びるし、スピード感やプレー速度も上がる。2カ月前に『それじゃ通用しないよ』って言っていた子に、抜かれたり。『そんなディフェンスじゃボールを奪えないよ』って言っていた子に、ボールを取られるときもある。やれるようになったじゃんって。
それって個人的には悔しいんだけど、うれしいことでもあってね。トップの選手も含めて、大人がそんな短期間でものすごく足が速くなったりすることはありえないでしょう。なるんだよ、それが。めっちゃおもしろいんですよ」