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実力拮抗のJ2、昇格レースが本格化。
J1返り咲きを狙う柏と長崎に注目。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/07/09 11:30
3位まで順位を上げてきた柏レイソル。クリスティアーノ(左)や江坂任ら、J2最強の攻撃陣でJ1昇格を虎視眈々と狙う。
前線の陣容が固まり、守備も安定。
様々な組み合わせが可能なだけに、ネルシーニョ監督はベストミックスへ辿り着くまでに時間を要した。失点は少ないものの得点も少なく、複数得点をあげたのは19節の千葉戦がシーズン3度目だった。
得点ランキングの上位には、柏の選手の名前が見当たらない。シーズン前半が混戦となったのは、彼らが勝ち切れないことにも理由があっただろう。
しかし、江坂と瀬川(またはオルンガ)を前線に、クリスティアーノを2列目右サイドに置く4-4-2のシステムがここにきて固まっている。2列目左サイドの菊池大介が見せるバランス感覚によって、クリスティアーノを含めた3トップのような立ち位置にもなる。遅攻も速攻も繰り出せる攻撃の破壊力は、J2でナンバー1と言っていい。
夏の移籍市場でブラジル人をさらに2人獲得しており、攻撃力のさらなる充実にもどん欲だ。
クロスゲームを制するための割り切りも見せる。首位の山形をアウェイで叩いた20節では、1-0でリードした後半途中から5-2-3や5-4-1のバランスで守備力を高めた。
ゴールマウスに立つのは'18年ロシアW杯代表の中村航輔で、最終ライン中央には経験豊富な染谷悠太と鎌田次郎が並ぶ。計算の立つ守備と攻撃の破壊力がこのまま噛み合っていけば、1年でのJ1復帰が現実的になっていく。
長崎・手倉森監督の巻き返し。
柏と同じくV・ファーレン長崎も、1年でのJ1復帰を目標としている。
かつてベガルタ仙台をJ1へ押し上げ、リオ五輪代表監督と日本代表コーチを歴任した手倉森誠監督にすれば、9勝4分8敗での折り返しは不本意だろう。リーグ6位タイの得点を記録している攻撃力は、開幕直後に補強した呉屋大翔の爆発とセットプレーの有効活用によってアップしてきた。
一方で、25失点はリーグ10位である。悪くはない。ただ、上位へ食い込んでいくには物足りない。仙台やリオ五輪代表で堅守をチームの基盤とした指揮官は、改善の余地があるとの判断を下しているはずだ。