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「ミスしたらガッツポーズ!」「いつも心は40-0!」松岡修造がテニスで世界を目指す31名の子どもたちへの熱血指導を通して伝えたいこと
posted2024/02/15 11:00
text by
福田剛Tsuyoshi Fukuda
photograph by
Yuki Suenaga
「そう、それでいいんだ! ナイストライ!」。インドアコート中に松岡修造の大きな声が響き渡った。
1月13日、東京・有明で、「Number Sports Academy 松岡修造テニス教室 supported by 雪印メグミルク」が開催された。通常アスリートが子どもたちに指導する教室は、主に競技の普及を目的とするため、参加者は初心者から上級者までと幅広い。ところが、今回は本気でプロを目指し、真剣にテニスに取り組んでいる小学4年生から中学1年生のみが対象となっている。そこには世界の舞台で戦う日本人選手を育てるため、長年にわたり男子ジュニア強化プロジェクト「修造チャレンジトップジュニアキャンプ」を主宰してきた松岡の想いが込められていた。
「小学校の高学年から中学生というのは一つ大きな刺激を受けて自信を掴むと、とてつもないジャンプができる年代です。これまでは男子を指導してきましたが、今回、この年代の女子を指導できるのは、僕自身にとってもすごく貴重な経験だと思っています。僕と時間を共有できたことで、一つでもいいからその子が変わるきっかけを与えられるか。僕にとっても大きなチャレンジであり、子どもたちとの勝負だと思っています」
レッスンは、座学から始まった。松岡がホワイトボードに書いた穴埋めのメッセージを一緒に考える。ときに真剣に、ときにコミカルに語りかける松岡の指導に、最初は緊張でこわばっていた子どもたちにも、徐々に笑顔が広がっていく。テニスはメンタルがプレーの質を大きく左右するスポーツ。松岡がこの座学を通して最も伝えたかったキーワードは“自分”だ。
「ボールに操られるのではなく、自分からチャレンジする。大事なマッチポイント、欲しいと思ったポイントは自分から取りに行くことが大切です。さあ今日は、自分のテニスをしよう!」
30分の座学が終わると、4面のコートに分かれ、テニスレッスンがスタート。ストローク、サーブ、ボレーと、どうしたらボールに操られずに自分のテニスができるのか。ジュニアの強化選手に指導しているテクニックを惜しみなく伝える。その間も修造語録を交えたポジティブな声かけが続く。
「ミスしても謝らない、『ミスしたらガッツポーズ!』。次に直せばいいんだから」「プレーしているときは、気持ちを楽に。『いつも心は40-0』を忘れない」