テニスPRESSBACK NUMBER
「もちろん、バトンは渡る」絶対王者ナダルが認めた“後継者”…男子トップ選手も恐れる19歳スペインの新星・アルカラスってどんな選手?
posted2022/06/04 11:00
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Getty Images
この全仏では開幕前からスペインの新星、19歳のカルロス・アルカラスが主役級の扱いだった。昨年大会は3回戦止まりだが、今季の飛び抜けた成績、将来性や話題性から、1試合もこなさないうちに主役の位置に納まり、この選手を見逃すな、と騒がれた。
ナダルも認める“後継者”「もちろん、バトンは渡る」
昨年の全米で18歳にして8強入り。今季の成績は28勝3敗、勝率は9割を超え(全仏開幕時点)、男子ツアーのトップに立つ。また、今季は四大大会に次ぐ格付けのマスターズ1000の2大会を含む4大会を制し、これも最多だ。全仏と同じクレーコートで行われた前哨戦のマドリードでは、ラファエル・ナダルとノバク・ジョコビッチの二人を倒して優勝している。
1968年のオープン化(プロ解禁)以降、10代でグランドスラムを制した選手は最年少のマイケル・チャンなど7人(そのうちビヨン・ボルグら3人が2度達成)しかいない。アルカラスが優勝すれば、05年全仏を19歳で制したナダル以来の快挙となる。ナダルはこの初優勝を皮切りに全仏で史上最多の13度の優勝を飾ってきたが、同じスペインのアルカラスがその後継者であることは衆目の一致するところだった。
マドリードでアルカラスに敗れたナダルはこう話している。
「彼は19歳で昨日が誕生日。私は36歳。もちろん、バトンは渡る。予想外のことが起きたわけではない。落ち着いて、平穏に、自然にこれを受け入れたい」
客観的な言い方ではあるが、ナダルがアルカラスを自身の後継者と見なしているのは明らかだった。
アルカラスを見て思い出す「17年前のナダル」
1年前、リモート取材の全仏でアルカラスを見たとき、05年当時のナダルを思い出さずにはいられなかった。長い黒髪をなびかせていた当時のナダルと短髪のアルカラス。風貌は似ていないが、その存在感、堂々とした試合態度や野性味が共通項だ。もちろん、恐ろしく速いスイングでボールを殴りつけるところも共通している。