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<中嶋聡が見た100号>
イチローvs.松坂大輔「最初で最後の1本塁打」

posted2019/06/24 07:00

 
<中嶋聡が見た100号>イチローvs.松坂大輔「最初で最後の1本塁打」<Number Web>

西武の5-0で迎えた9回、イチローは松坂から100号ソロ本塁打を放つ。

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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初対決で3三振を喫したその2カ月後、稀代のヒットメーカーは100号弾で雪辱を果たした。海を渡っても続いた、2人の天才の対決。その唯一の本塁打を、捕手の視点で振り返る。(Number980号)

 イチローは時折、狙ってホームランを打っていた。イチローはこう言っている。

「スイングはいつもと変わらないんですけど、狙うときにはボールの少し下を打ちにいく、ということはしていますね」

 日本で118本、アメリカで117本。

 235本のホームランの中で、イチローが明らかに狙って打ったホームランがある。それが100本目のホームランだ。そのホームランをイチローは1999年7月6日、神戸で松坂大輔から打っている。イチローはこの日、こんなコメントを残した。

「ホームランは前の打席から狙っていました。100号は松坂君から打ったほうが喜んでいただけると思いましたから……」

 このとき、松坂とバッテリーを組んでいたのが中嶋聡だ。イチローとチームメイトだった中嶋は、ライオンズへ移籍してルーキーの松坂と出会う。当時、中嶋は松坂に対してこんな印象を抱いていた。

「とにかくボールが暴れていました。まっすぐもスライダーも暴れていた。だから暴れた球をうまく利用するために、キチキチに構えないというか、この暴れ方ならこっちのまっすぐはいけるなとか、こういう暴れ方ならスライダーが上手く使えるなとか、そう考えるようにしていました」

 その発想が功を奏したのが、イチローが100号を打つ2カ月前の、イチローと松坂の初対決だった。イチローから3三振を奪った、1999年5月16日のことだ。

 イチローと松坂の初対決は1回表、ツーアウト、ランナーなしの場面で実現した。初球、インコース低めへのストレートは149km、判定はボール。2球目はインコースの高め、153kmのストレートをイチローが強振して、ファウル。その後、松坂はスライダーをアウトコースに2球続けてカウントは2-2となった。追い込んでからの5球目はふたたびインコース高めへ151kmのストレート、またもファウル。そして6球目、松坂はアウトコースの高めにストレートを投げた。スピードは147kmだったが、うなりを上げて伸びるボールにイチローのバットが空を切り、空振り三振。中嶋がこう振り返った。

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