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大谷翔平のサイクルは球史に残る?
ノーヒッターよりレアな“勲章”か。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2019/06/19 08:00
絶好調モードの大谷翔平。サイクル達成後には現地の子どもたちからサインをねだられていた。
ベーブ・ルースは達成できなかった。
フォーリーは1883年、メジャー歴わずか5年で引退し、通算373安打を記録している。その内訳は298単打、57二塁打、12三塁打、6本塁打となっている。
彼のヒットの種類で一番少ない6本塁打を基準に考えれば、彼はその数少ないチャンスを見事にモノにして「史上初のサイクル達成者」として球史にその名を残したことになる。
大谷にこじつけて追記すると、我々が何かにつけ比較する「投打二刀流」のベーブ・ルースは、サイクルを達成していない。
ルースは現役時代、通算2873安打を記録している。その内訳は1517単打、506二塁打、136三塁打、714本塁打となっている。
我々が知るルースのイメージは「大柄なスラッガー」なので、1921年、26歳の時に自己最多の16三塁打を記録したのを筆頭に、2桁三塁打のシーズンが4度もあったのは(ご本人には失礼だが)少し驚きだ。
彼のヒットの種類の中で一番少ない三塁打を基準にとてもシンプルに考えれば、ルースには22年のキャリアの中で、サイクルを達成するチャンスが136回あったということになる。
大谷はメジャー2年目途中でメジャー通算3本目の三塁打という、わずかなチャンスをモノにしてサイクルを達成した。
フォーリーや大谷にできて、ルースにはできなかったサイクル。
それは単に運やタイミングの問題なのだろうけれど、ノーヒッターに匹敵するレアな記録に、知られざる歴史が埋もれているのは確かだ。